たけちゃん

恐怖の報酬 オリジナル完全版のたけちゃんのレビュー・感想・評価

4.5
踊ってくれないか?


ウィリアム・フリードキン監督 1977年製作
主演ロイ・シャイダー


去年、オリジナル完全版が公開され、TLで流れてくる皆さんのレビューを読んで、ずっと観たかったんですよね。
そうしたら、アマプラの100円レンタルで見つけてしまってすぐ購入。正月休みに観ようと思っていましたので、今回、やっと観ましたよ!

僕は初鑑賞です。
そもそもリメイクなのも知らなかった。
それが良かったのかな?
観終わって、あれこれ調べてみたら、フリードキンの知らぬところで勝手に編集された公開版が、ひどく低評価になったことも知りましたし、H.G.クルーゾーが撮った1953年のフランス映画との比較ばかりで、正当に評価されていないのも知りましたので。
そんな僕の初鑑賞の感想は?
少しネタバレも混じります……





さて、映画です。
すごい面白かったです\(^o^)/
やっぱり劇場で観たかったなぁ。
もう、緊張感と迫力が凄まじい!
30分もカットされていたら、そりゃ語り足りない。
フリードキンの怨念のようなものまで感じました。

原題は「Sorcerer」で、これ"魔法使い"とか"魔術師"の意味よね。どうしてこの題なのかなぁ。
車のボディにも書かれていましたよね。
これ、誰か教えてください。

ウィリアム・フリードキン監督は「フレンチ・コネクション」や「エクソシスト」を撮った名匠で知られますが、どうもその2作で燃え尽きていたようで、今作まで4年も映画を撮っていなかったようです。
その監督が取り憑かれたように撮ったのが今作ですからね。撮影に2年もかけたってんだから、そりゃ赤字にもなります( ˘ ˘ )ウンウン



冒頭の爆発シーンから凄いよね。
生の迫力が半端ない。
クローズアップを多用した撮影も、緊張感を高めるなぁ。
有名な吊り橋のシーンを始めとしたハラハラのサスペンス展開も凄い良かったけど、個人的には、それぞれに理由があって、元の世界から逃げてきた見ず知らずの4人が金のために請け負った仕事なのに、いつしか協力し認め合っていくのがすごく良かったの。
でも、因果応報というか、それでは終わらせてくれない。オリジナル版と同じように見えて、全然違うんだよね。
あのダンスシーンで終わってたら、それなりにハッピーエンドだし、僕の大好きな"滅びの美学"的な作品にもなったよね。

でも、そこで終わらせない脚本の非情さ。
現実を、これでもか!と突きつける。
もう、参りました(゚´Д`゚)゚。
「スター・ウォーズ」とは真逆ですわ。
60年代後半に撮っていたら、それこそ大絶賛されたんじゃないかなぁ。
時代とタイミングを間違えた傑作映画だと思いました。





最後に音ネタ💩ウンチクンです!

今作の音楽を担当していたのはタンジェリン・ドリームでした。
知らない人がほとんどだろうなぁ……。
タンジェリン・ドリームって、プログレッシヴ・ロックに分類されると思うんだけど、電子音楽ロックの先駆けですよね。何枚かアルバム持ってました。
ドイツ出身で、もう亡くなっているんですが、エドガー・フローゼを中心としたバンドで、メンバーは流動的なんです。だから、残ったメンバーで今も活動中ですよ。アンビエントっぽくもあり、僕には退屈な時もあるんだけど、映画にはハマるんですよ。ヴァンゲリスなどとも似てるかな?
この「恐怖の報酬」が評価されたらしいけど、それは全く知らなかった(笑)


ジャズミュージシャンのチャーリー・パーカーも印象的に使われていましたね。
あのラストのダンスシーンで流れる曲が「四月の思い出(I'll Remember April)」です。
チャーリー・パーカーのアルトサックスが素晴らしいですよね。どこか物悲しくて、この場面にピッタリでした。
そして、そこからのラストですからね。
アメリカン・ニューシネマだなぁ……って感じたのは、僕だけですか?



「スター・ウォーズ」と同年に公開され、興行的に大失敗と言われた作品が、こうして再び日の目を見て、再評価されたところに、個人的にはものすごく感動しています。
主演の4人は、もう、全員故人です。
CGなど無い時代に、それこそ、執念で作品化したフリードキンの思いに胸が熱くなりましたよ( •̀ω•́ )و✧
チャンスがあれば、ぜひ、どうぞ(^-^)