えびちゃん

ラ・ポワント・クールトのえびちゃんのレビュー・感想・評価

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)
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ヌーヴェル・ヴァーグの源流。最初は小さなさざなみだった。そのさざなみにたくさんの映画人たちが影響を受けてじっくり大きな波となっていったのかと思うとじわーんと胸にくる。ヴァルダの広く優しくでもドライなまなざしは最初期から変わらずにいたのが嬉しい。たくさんの猫も。
凪いでいて枯れつつある海とそこにのっかるいつ沈んでもおかしくないような小舟、みすぼらしい掘立小屋、無尽蔵に横切る猫、ざりざりした土、幾重にも交差した線路、きっとお世辞にも美しい町、とは言えないのかもしれないけど、そこで暮らす人々と家家を跨ぎはためく洗濯物の飾り気のなさがむしろとても美しく映った。ポワント・クールト、今はどんな町になっているんだろう。
夫の言っていた「(妻は)俺を愛しているのではない、2人の愛を愛しているのだ」のような話はほおぉ〜と納得。わたしの場合はどうだろうな、たぶん2人の愛、2人の関係あっての愛情な気がする…。それがいいのか悪いのか、ということではないけど。あとわたしたちみんな愛についてもっと語ったほうがいいから語ろう。
手元において何度も観たい。観るごとに哲学の受け取り方が変わりそうなのもいい。ヴァルダ作品、もっと観たいな。
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