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マイ・ブックショップのskm818のレビュー・感想・評価

マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)
3.8
憧れの書店経営を始めた女性が嫌がらせにもめげず成功を勝ち取る話ではなくて、嫌がらせを受けて追い出される話だった。主人公ではない語り手がいるんだけど、この語り手っていうのがね、グッときますね。時代は1955年、ナボコフの「ロリータ」が出版された年。この作品を町の書店で売ってよいか主人公が相談する場面があるんだけど、こんな時代だったんだなあと。ロリータやブラッドベリの小説が新刊だった時代なんだよな。ビル・ナイ演じるブランディッシュ老人がブラッドベリにハマるのウケた。読書っていつからでも始められるものなんだな。お手伝いの賢い少女クリスティーンのキャラもいいし、海洋少年団もいいですね。ノースはやっぱり胡散臭いやつだったなあ。彼やガマート氏は別に悪人ではないと思う。でも悪人の言いなりになっているのは悪人よりもタチが悪い。ギッピング夫人のような階層の人が丸め込まれてしまうのは仕方ないっちゃ仕方ないけど、ノースやガマートは知識階級じゃん? ガマート夫人の悪人っぷりすごかったな。慈善家といってもこういう自分が賞賛を受けたいがために見栄えのよいことをしようとする人もいるんやな。ノースの恋人のケイティがフローレンスに好意を持ってお喋りする場面も良かった。こういうさりげないシスターフッドいいなあ。最後の展開はもうこれしかないでしょって感じだった。おいらも「ジャマイカの烈風」読みたくなった。
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