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グリーンブックのMaUのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0
トニー。とにかく私は無骨でがさつなトニーが愛しくて愛しくて大好きになった。1960年代のNYのナイトクラブで働くトニーは、店の改装の間の働き口を探し、米南部をツアーで回るピアニストドクの運転手として雇われる。クリスマスまでの8週間、家に帰れない日々だが、お金のために引き受けるトニー。かくして不思議な組み合わせでのロードストーリーが展開される。

脚本が好き。アメリカの色々な側面や時代が見えてくる。あからさまに差別を受けるドクはわかりやすいが、相方のトニーもまたイタリア系でどこか純粋な白人とは違う世界にコミュニティがある。そんな二人が心を開き、通わせていけるのも、ある意味アメリカならではなのかもしれない。人と人とは結局コミュニケーションなんだ、としみじみ感じるし、異質でも、肌の色が違っても、分かりあえるってことを二人が教えてくれた気がする。そして、差別は、規範はあるが自身の心に教養と想像力がないことで生まれるんだとも。なにかを振りかざすときに、それをどう使うのかがわかっていないとこうなるんだな、と。

ケンタッキーフライドチキンのくだりが大好き。そして、トニーの奥さんの毅然としたあり方も。世の中、いつだって差別はあるけど、そればかりじゃない、という希望も見える感じに心がホッとする…
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