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グリーンブックのichiのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.9
ナイトクラブで働いていたトニーはクラブの改修工事の為、新しい職を探す必要に迫られた。
そんな折に医者のドライバーの職の話が舞い込んでくる。
面接に行くと実際は医者ではなく黒人のピアニスト、ドクが率いるトリオのツアーのドライバー兼お世話だった。
黒人差別があからさまに当然にある1960年代のアメリカで、トニーも例外なく黒人を差別していた。
お金が必要なトニーは面接でフラットを装うが仕事内容で一度は決裂。
後日トニーの評判を捨てきれずドクの方から、再度トニーの条件を汲んでのオファー。
色も性格も全く正反対な二人の二ヶ月の旅が始まる。

映画、最強の二人とどこか被る。
面接のシーンはまさにそれだった。
品位があり生真面目で教養の高い黒人のドクと、素行がいいとは言えない陽気なトニーがぶつかりながらもだんだんと打ち解けていく様子は微笑ましく心温まる。
ドクに食べたことのないフライドチキンをトニーが勧めるシーンはお気に入り。

ドクの母親からの教えを交えながらトニーに対して説教した言葉、
暴力は敗北だ。
品位を保つことが勝利をもたらすのだ。
が、印象に深く残った。
トニーのフライドチキンをドクに半ば強引に食べさせているシーンでのトニーの父親からの教え、何をするにも100%の力を出せ。に、心が反応した。
親の教えは永遠に影響を持って残る。
自分の親は何て言ってたかなと考えた。

お金に不自由なく豪邸に住んでるドク。一見誰もが羨ましがる生活に見えるが、実際は孤独で色んな差別に耐えている。
それを思うと感情が込み上げた。
寂しかったら先に動かないとというトニーからの教えに習ってクリスマスにトニーの家を訪問したドク。温かく迎えてくれたトニーの家族と友人。それが嬉しかった。
良かったねドク。そう心で言うことを止めることはできなかった。

ツアー中に妻に手紙を書き送っていたトニー。
その文面がドクの指導により、詩的でロマンチックになっていった様子も微笑ましい。
最後ドクに手紙ありがとうとハグをしたトニーの奥さん。その行動が彼女の性格、人格を表している。
なんていい奥さんなんだ。

ドクが富裕層の前での演奏より黒人の集うレストランでの演奏のほうが楽しそうにしているのも印象的なシーン。

心温まり感動する私にとって今年一番の映画でした。
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