群青

ジョーカーの群青のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0
群青の2019年劇場鑑賞映画16作目。


皆さん期待して観に行って期待通りの良かった作品かと思います。

結局は全部ジョークだったんだけど?みたいなバランスがジョーカーを表してて良かったかな。

観る前はダークナイトのジョーカーに引っ張られてて、ジョーカーになるまでが分かってしまったらジョーカーの良さがなくなるじゃん!という複雑な気持ちだった。

しかし観てみるとジョーカーというか、それをコンセプトにした弱者の世間への反撃を理想化させた作品になってて現代社会にぴったり。

文字通り弱者の偶像となったジョーカーな訳ですが、最初は徐々に転落していくかと思っておりました。

甘かった…


もうしょっぱなから底辺なんですよ。
仕事はうまくいかない、認知の入った母の世話をしないといけない、自分は笑いたくないのに笑ってしまう病気、そしてその薬を打ち切られる。
僕は知らないだけでこの世のどこかでそういう八方塞がりな人がいると思うんですよね。
そのささやかな抵抗として銃を手に入れる。
最初は単なる脅かしのつもりで持っていただけだった。
個人的に小児科病院の1シーンが一番好きなシーン。思わず手を口で覆ってしまった。その時の、いやジョークですよハハハって乾いた感じがとても切ない。

何はともあれどん底を突き抜けて地底世界に入り、さらに突き抜けて反対側に出てしまうジョーカー扮するアーサーがとにかくかわいそうでかわいそうでたまらなかった。

人間何が一番きついって、自分という存在がこの世からなくても痛くも痒くもないって言われることなんだと思う。存在する意味がない、、ってやばくないですか?

唯一すがっていたものを笑いながら奪わられるってホント悪夢でしかない。しかも奪った方は例えば食べた後の皿を何も考えることなく片付けてしまう感覚。こちらとしては大切なものでも相手にとっては何物でもなかった落差。
どこまで世界はおれを馬鹿にするのか、おれには何も望むなってか?そういう怒りが溜まっていくのは辛かった。


じゃあ頑張ってなんとかしろよ、と思う人がいるかもしれない。でも頑張らなくてもなんとか普通通り生きていけるっていう世界が一番良くないですか?
もちろん頑張ったらそれに見合ったものが得られるのは良いことだけど、なんで今でも頑張ってるのにそれ以上を求められるのか?そのくせいなくても問題ないって、、、そりゃ言っちゃあおしめえなんですよね。

なにより日本でヒットしてるってそういう、もう頑張ってるんですよって人が多いってことを証明してるようなもんですよね。

ということで非常に楽しめました。
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