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カプリコン・1のアー君のレビュー・感想・評価

カプリコン・1(1977年製作の映画)
3.2
人類初の有人火星探査を偽装するという陰謀を描いたポリティカル・サスペンスであり、1970年代の米国の不安定な社会情勢やNASAの危機に影響されて製作。ニクソン大統領が失脚したウォーターゲート事件やアポロ計画の問題など、政治権力に対する不信感が高まっていた時代に、国家ぐるみの捏造や隠蔽を暴くというテーマが受け入れられており、現代のフェイクニュースや陰謀論にも通じるものがあり、興味深い内容であった。

SF映画に捉われない、政治サスペンスという見方で前半までは面白さはあったが、同時進行で起きる中盤以降の宇宙飛行士と新聞記者との持ち運びが長丁場で少し退屈であったのと、根本的な問題である国家権力として、何故そのような事をした理由が明確に伝わらず、アイデアだけという惜しいところもあった。

※この映画の影響で人類が最初に月に行ったアポロ計画は嘘で、スタンリー・キューブリックが撮ったという陰謀論が強まる。

オープニングではやたら字間が詰まったフォントのタイポ処理など、なんらかの意図はあるとは思うが、エンドクレジットでは、何故かそのような加工はしないというディレクションにいい加減さが残念であった。

見どころである飛行機とヘリコプターの逃走シーンは希望としてO・J・シンプソンであれば、将来の皮肉で面白いとは思いましたが(笑)。

※1994年に妻の殺害容疑で逃亡。警察とカーチェイスをして逮捕。

50年以上に有人探索として、月面に足を踏み入れなかったNASAの言い分としては、15兆円以上の予算が掛かりコスト面で問題がある事を理由としている。

そして火星への人類の到達は、科学的には可能だと考えられている。NASAは2033年までに有人火星探査を実現すると発表。また民間企業のスペースXは2024年に人類を火星へ送る計画があり、巨大ロケットの建造を始めている。

しかし火星は地球とは大きく異なる環境で、多くの困難や危険を伴い、人間の居住に適してはいない。また火星に行くには片道2年以上かかり、宇宙飛行士は長期間の閉鎖空間や無重力、放射線などにさらされるため、身体的な負担がとても大きく、簡単ではないと言えるだろう。火星探査は人類の夢と挑戦であり、未知の世界を探求する魅力とともに、数多くの課題を抱えている。

[ブルーレイによる購入・視聴]
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