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十二人の死にたい子どもたちのinotomoのレビュー・感想・評価

3.1
ある廃院に、未成年の十二人の少年、少女が集まる。彼らはインターネットを通じて、集団で自殺をしようと集まった十二人だった。それぞれが、死にたい理由を抱えており、安楽死によって目的は達成されるはずだったが、集合場所に十三人目の謎の人物の遺体があったことから、事態は予想外の方向に進む。監督は堤幸彦。
ショッキングなタイトルから、若者が見るには道徳上、あまりよろしくない内容かと予想されるけど、結局は辛くても生きて行く努力が大切みたいなテーマにたどり着くというのは予想通り。ミステリーでも、あまり疑いの目を持って作品を見ない私は、事態の真相の鍵を誰が握っているとか、あまりわからなかったのだけど、私より先に映画を見た娘は、「なんとなく予想ついた。別に映画でやらなくても、2時間ドラマとかでやるので充分」と厳しい感想を言ってたけど、細かに張り巡らせた伏線は、現実味はないけどミステリーとしてはなかなかの面白さだったかも。また、深刻な問題から、他人から見るとどうでもいいような悩みまで、十二人が抱えているそれぞれの死にたい理由を背景に、十二人のキャラがきちんと個性たっぷりに際立って描かれているところが、この作品の最大の魅力かなと思った。今注目されてる若手俳優達の、瑞々しい演技も見応えあり。印象に残ったのは、集団安楽死を主催した、サトシ役の高杉真宙。TV版「セトウツミ」で内海を演じていた彼が、ここでも知性たっぷりの、含みある演技で好演。アンリ役の杉咲花は、キャラが個性的過ぎて、リアリティに欠けたのがちょっと残念。最近の邦画では、かなりヒットしてる方の作品。邦画は興業収入と内容が見合わないものが割と多いけど、これはまずまずかな。
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