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クインシーのすべてのtjZeroのレビュー・感想・評価

クインシーのすべて(2018年製作の映画)
3.8
偉大なミュージシャン、作曲家、編曲家Q・ジョーンズのドキュメンタリー映画。

娘のラシダ・ジョーンズが共同監督を務めているだけあって、クインシーのパーソナルな本音の数々を垣間見せてくれます。

「仕事中毒」と自称するだけあって、80代を越えてもヨガで体調を整えながら、精力的に活動する様子が描かれます。

それと並行して、彼のこれまでの歩みを振り返る映像もたっぷり。

シカゴに生まれ、ジャズ🎺トランぺッターとしてキャリアをスタート。
シアトルに移り、14歳の時にレイ・チャールズと知り合い、生涯の友となる。
N.Y.に拠点を移してからは、編曲家として数々のアーティストとコラボ。
29歳でフランク・シナトラ楽団の指揮者兼アレンジャーに大抜擢される。
その後、黒人初の映画音楽作曲家として、ハリウッドでも活躍。
’78年の映画『ウィズ』で知り合ったマイケル・ジャクソンをプロデュース。『オフ・ザ・ウォール』、『スリラー』、『BAD』…というモンスターアルバム3連発を生み出します。
~その後の活躍も多大なので、ここら辺で省略します💦。

マイケルだけでなく、若い才能の発掘に熱心で、あのウィル・スミスを映像の世界に引っ張り上げたのもクインシーだと知ってビックリしました。

この映画の中で、ある若手ミュージシャンとの対話でクインシーが、
「音楽はわずか12音で表現できる。モーツアルトからスティーヴィー・ワンダーまで、世界中のいろんな人々が使ってきた」
と発言する場面があります。

なるほど、日本語のひらがなは50音、英語のアルファベットは26音…それよりも少ない12音で表現できる音楽は、世界最強の共通言語なのかもしれません。

そんな最強ツールである音楽を、映画やMTVといった映像に乗せて世界中に発信し続けたクインシーのような存在が、黒人へのリスペクトの念を呼び起こし、差別の解消に貢献してきたのでしょう。

その最大の発露が、’85年のチャリティ・ソング『ウィ・アー・ザ・ワールド』だったのかもしれません。

偉大な足跡をたどるこのドキュメンタリーを観ながら、
「ご存命の間に、ノーベル賞を贈ってもらいたい、贈られるべき存在だ」と強く思いました。


《付記》レビューを書くために、ウィキでクインシーについて調べていて初めて知ったのですが、あのジブリ映画でおなじみの久石譲さんは、クインシー・ジョーンズからペンネームを考え出したそうです。
たしかに、”久石譲”を読み換えると”クインシー・ジョーンズ”になる!
日本のクインシー、こと久石さんが映画音楽を務める新作を、また劇場で鑑賞できる日を楽しみに待ちたいと思います。
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