ドント

ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハードのドントのレビュー・感想・評価

3.0
 2017年。70年代後半に結成された女性オンリーのパンクバンド(入れ替わりが多く男性がドラムをやったりもしたけど)、ザ・スリッツ(「切れ目」の意)の歴史を追うドキュメンタリー。
 パンクムーブメントのいちバンドとしてしか知らなかったものの、現代から見返すと「女ナメてんじゃねー! みんな自由に生きるんや!」というガールズ・エンパワメント……というとカッコよすぎるので「背中押し」「ケツ叩き」グループとして照射されて、あと本人たちのカッコよさも合わせて実にクール。
 ロックがあまりいいものとして見られぬ時代、さらに労働者階級が暴れて白眼視されたパンクの季節、さらに男所帯の世界に、全員女で殴り込むというのがいかに勇気のいることであったか、イカしたことであったかというのが伝わってくる。
 アルバム一枚で世界を変えて爆発四散したピストルズとはまた違った形で時代を切り開いた(スリッツです」)女たちの物語。テレビとかで放送してほしい。路上放尿シーンがあるけどそんくらいなら構うことはないであろう。しかし才気あるパンクバンドがニューウェイブ系列に流れるのが定石なのは面白いッスね。
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