LalaーMukuーMerry

虐待の証明/ミス・ペクのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

虐待の証明/ミス・ペク(2018年製作の映画)
4.5
児童虐待のシーンが出てくる映画はこれまでもちょいちょい見たが、ここまで真正面から扱った映画は、私にとってこれが初めて。(「誰もしらない」(2004)はネグレクトされた子供が主人公だったから、入れてもいいのかもしれないが・・・)。日本でも心愛(みあ)ちゃん事件のニュースが話題となったばかり、韓国でも同じような児童虐待が増えているらしい。
          *
これは実話ベースの、見るのが辛い内容が含まれるけれど、虐待された子どもを守ろうとする人と、取り戻そうと探し回る「親」とのかけひきをサスペンス仕立てにした、とても引き込まれる、そして希望のラストにホッとする作品でした。
          *
虐待を受けた子ども本人が警察や児童相談所に相談に行っても、きちんと対応とってもらえない場合が多く、虐待をする「親」の外面のよさに警察も騙されて再び子どもを引き取らせてしまいやすいこと。他人が虐待された子を「親」から引き離して保護した場合、正しいことのように見えても、それは「誘拐」になってしまうこと。児童虐待の対処にはいろいろと難しい面がある・・・
          *
虐待の連鎖があるということ。虐待された経験のある子が親になった時、虐待する親になりやすいらしい。この映画の主要な登場人物にも虐待された過去がある人が多かった。もちろん主人公ミス・ペグのように、そういう過去があっても虐待された見知らぬ子を助ける側に回る人もいるだろう。それでも彼女は結婚して親になることに自信がもてない人だった・・・
          *
     *** *** ***
虐待は躾だとうそぶく「親」の屁理屈を通さないようにしないといけないでしょう。暴力は一時的に親の言うことに従わせる効果はあるかもしれないが、長い目で見たら子のためにも親子の絆のためにもの百害あって一利なしです。一時的な効果という点で見ても、暴力よりもっと効果のある対処の仕方はたくさんあります。結局のところ、暴力は全く必要ないのです。
          *
カッとなって手を振り上げる前に、ひと呼吸して一瞬の間を持つだけで、怒りが収まるのに気づけると思います。落ち着いた頭ならベターな対処法を考えることができるはずです。それが連鎖を断ち切るはじめの一歩と思います。