しおえもんGoGo

運び屋のしおえもんGoGoのネタバレレビュー・内容・結末

運び屋(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

クリント・イーストウッドあってこその作品。

超絶社交的で、仕事熱心、大人の余裕があり、昔ながらの頑固さもあるとても魅力的な人でありながらも、家族から見たら最悪
という人物像がイーストウッドにピッタリ。

気が付いたらカルテルのチンピラもいつの間にかすっかり馴染んでいるし、ちょっと強面の中堅も自由気ままに動くアールに振り回されたのに、さらに厳しい対応を強いられるとどこか心配そう。一瞬隣合わせたDEA捜査官ともあっという間に交流。
綺麗な若い女性が次から次へと寄ってきて、二人もベッドに連れ込むアールは登場した誰よりもアクティブかもしれない。

楽しそうに仕事しているアールと、大がかりに捜査するDEA、ピリピリしているカルテルのギャップが面白い。

そのギャップはアールが楽しそうにやってる仕事が実際には被害者も出るような犯罪であるという点にもあって、それがこの映画のふわふわした感じにつながるのかもしれない。「そんな楽しそうにしてる場合じゃないやん」って冷静になったら考えてしまう感じ。映画なんだから細かい事言うなって自分でも思うけど、そうなると今度は「実話をもとにしている」という点が顔を出す。

また今までは仕事優先で家族をないがしろにしたアールが、絶対に抜けられない仕事をなげうって妻の元に帰ったという点では「本当に大事なものに気づいた」と言えるだろうが、これも冷静に考えたら家族も危険にさらすようなヤバい仕事に手を出しておいて家族愛もへったくれも無いわけで、そこが美談で終わってしまうのもどうなんだろうか。
隣に座るのさえ嫌った娘が、孫の学費や結婚式の費用を犯罪で稼いでいたという事実を知った後も「できるだけ面会に行くね」なんてあっさり和解。
するかーい!私が娘なら絶対に許さないけどな。

90歳の運び屋という素材は抜群に面白いけれど、それと家族愛を絡めるのは結構無理があるのかなと思った。

でも見ている間はアールの魅力とユーモアで楽しく鑑賞できる。
ほんと、イーストウッド自身の魅力は大きい。
しおえもんGoGo

しおえもんGoGo