ギリアドのメダボ野郎

運び屋のギリアドのメダボ野郎のレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.2
2019-03-08 (金) (公開初日)の08:30~10:40上映、新宿ピカデリーのシアター2で観賞。

客入りは2~3割、年齢層高め。

予告編から、引退した嘗ての運び屋が家族の為に止むに止まれぬ事情で最後の仕事をこなす的な話を勝手に想像していたので、イーストウッド演じる主人公のアールがデイリリーを育てる職人気質の園芸家、という牧歌的な設定にえっ!という感じに、結構面食らった。
序盤に面食らいはしたが、流石イーストウッド映画というか、主人公が運び屋稼業を始める動機、家族や運び屋稼業で出会う若者との関係など、テンポ良く淡々と描いていて、所々目頭が熱くなる良い映画だった。

あと小市民的な人物が裏稼業にのめり込んでいく様子は何となくドラマの『ブレイキングバッド』を思い出した。
本作もあの作品も裏稼業を行う動機の中に『人から認められたい』という欲求が描かれていて、両者の主人公が50代と90代と年齢が離れているにも関わらず、同一ではないが似たような葛藤を抱いているということに、男の性というか人間の業というか、そういったことを観賞後に考えてちょっと憂鬱になった。

イーストウッドの老け具合に最初はビックリしたが、普通は88歳で映画の監督+主演は務まらないし、作中で凄みのあるシーンが所々あって、やっぱり凄い人なんだと改めて感じた。
拳銃こそ出てこないが、最後のシーンでの潔い決断は、ガンマン同士の一騎討に思えて、イーストウッドはやっぱり格好いいなと思った。

あと作中のポークサンドが食べてみたいなあ、とも思いました。(デブな感想)