ギリアドのメダボ野郎

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのギリアドのメダボ野郎のレビュー・感想・評価

4.2
2022年1月7日㈮ TOHOシネマズ新宿、スクリーン10、08:40〜11:30上映、IMAXレーザー・字幕版で鑑賞。

客席は満席(前日の雪の影響で交通機関が乱れ、所々空席があった)

上映中にいくつかの場面では拍手が起きた。(上映中の拍手に遭遇したのは日本だとエンドゲーム以来初)

スパイダーマン映画としてはとても良かった。
過去作へのリスペクトや過去作を無かったことにさせない展開は、X-MENフューチャー&パストを思い出させ、こういう展開が大好物の私はパヴロフの犬の如く「例のシーン」以降目がうるっとしっぱなしだった。

だたとても良かったのだけど、不満というかモヤモヤする箇所がいくつかあったのも事実で、鑑賞後に少し落ち込んだ気分になってしまった。

帰り道、真っ先に思い浮かんだのが漫画家の荒木飛呂彦がどこかで書いていた「幸せ曲線」の話だった。

(荒木飛呂彦は名作映画は主人公の精神的な「幸せ」を数値化・グラフ化して分析すると、作品の最後には右肩上がりで主人公が幸せになっていることを「幸せ曲線」的な言葉で表現している。

さらに名作映画の続編が、往々にして前作に比べてつまらない映画になってしまう原因をこの「幸せ曲線」を使って解説していて、つまらない続編映画は「1」で築き上げた幸せを「2」であえて一度不幸にしてしまっていて、最後に右肩上がりで幸せになっても視聴者が冷めてしまう、というハリウッド脚本術にも通じるような理論・考え)

本作がピーターの幸せ曲線を理不尽に下げているとは言わないが、せめてミステリオの嘘についての対応は周りの大人がもうちょっと何とか出来たのでは?と思う展開だった。

モヤモヤしたのはサノスとの戦いに参加した功績がヒーローによってバラつきがある様に感じられた点。
戦いの功績で「ホーク・アイ」でクリントは政府からの監視を受けていない様に見えたし、「ワンダヴィジョン」でワンダは功績を讃えられている様には見えなかったし、どの程度の情報が世界に共有されて、それを世界がどう評価しているのか曖昧な為に、ミステリオの証言だけでピーターを批難するメディアや世間の描写に対してはモヤモヤというかイライラというか、ベトナム帰還兵に罵声を浴びせるヒッピーを見た様な嫌な気分になった。
(ダメージコントロールが暗躍していている故になのかもしれないが)

本作は「MCU作品としてのスパイダーマン」から「スパイダーマン」という独立したヒーローになる為に必要な物語だったのだろう。
だがトニーやキャップのやったことが段々と蔑ろにされていっている気がして、自分の中でなんだかMCU作品への熱意が失われていく様に感じた。

トム・ホランド主演でスパイダーマン3部作が制作決定しているので、そっちはもちろん楽しみだが。