しおえもんGoGo

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のしおえもんGoGoのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

パッと見ただけでもアガサクリスティーっぽいという感想が多いけど、確かにその通り。すごくイギリス感あるけどアメリカ映画で、ダニエル・クレイグがイギリス英語じゃない事の方が違和感がある。

ブノワ・ブランという探偵が何の説明もなく登場したけれど、個人的にはもうちょっと文系の印象を受ける役者さんの方がいいのではないかなと感じた。ダニエル・クレイグはガタイもいいし少々強面なので、あまり心の機微をくみ取ったり、侮られているけど実は…タイプに見えづらいというのもある。

話としては、どういえば良いのかな。小綺麗にまとまったというか、うわーめっちゃ面白い!じゃなく、あー うん 面白いね。
という感じ。

早々にあの夜の真相が開示される展開は面白かったし、伏線もどんでん返しも確かにあるけど、割と小粒なので「あー うんうん」とサラーっと流れて行ってしまった。

見どころは家族それぞれが抱える葛藤なんだろうけど、これもまあ想定の範囲内。

ただキャストは豪華であり、看護師のマルタはキュートで、殺されるハーランはいかにも洒脱なお年寄りという感じで自然と好感が持てる。それ以外の家族も絶妙な嫌らしさはさすがの演技力。
マルタがいる前で移民をこき下ろした後で「君はいいんだよ、僕たちと同じで頑張ってるんだから」みたいなことを言うシーンのようにイラっとさせるのが上手い。

あと地味だけどミーハーな刑事が面白かった。

善良で優しいマルタが報われ、我儘な家族は全てを失い、失望のうちに去っていくラストもいいんだけど、どうもスッキリしないのはマルタが薬剤を取り違えていること自体は間違いないからかも。

ブノワ・ブランは献身的に看護していたからこそ無意識に正しい薬剤を手に取ったのだと言っていたけど、それにちょっと納得できないのと、「結果オーライだから大丈夫」で済むのだろうか。マルタの気持ち的にも。
それはそれで救急車呼んでれば助かったのに見殺しにしたことになるし、もちろん二人とも知らなかったからどうしようもないのだけれど。

でも薬剤取り違えに気付いた後の彼女の狼狽ぶりがあまりにも真に迫っていてとても気の毒になったので、彼女のせいじゃないという結末自体はホッとする。

なんか色々文句を言ったけど、面白くはあった。
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