生化学教授のハリー（ピーター・オトゥール）は、亡き妻の細胞を30年間保存している。
研究を重ね、ついに彼女の再生を果たそうとするのだが…。
こういう序盤だから、どうしても『フランケンシュタイン』みたいなバイオSFを期待しちゃう。
オトゥールは『アラビアのロレンス』のイメージが強烈なので、本作のマッドで偏屈な研究者役はピッタリだし。
ところが、ストーリーは彼の助手ボリス（ヴィンセント・スパーノ）の恋人バーバラ（ヴァージニア・マドセン）の難病を救う話にシフトしていってしまう。
アレッ？、って感じ。目的地からどんどん外れて行っちゃうドライヴに付き合わされているみたい。
①荒唐無稽な死者の復活、をあきらめて、②目の前の患者を救う…っていう流れなんだけど、どう考えても面白そうなのは①の方でしょう。全体の話運び、軽やかなコメディ・タッチはワルくないだけに惜しまれる。
別に期待していた話じゃないからダメって訳じゃなくて、いい意味で裏切ってくれる作品もたくさんあるけど、本作の場合、メインの料理の香りだけ嗅がされて結局食べられなかった、みたいな喪失感が残ってしまった。
