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きみと、波にのれたらのrayconteのレビュー・感想・評価

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)
5.0
湯浅政明は世界で最も過小評価されている映画監督のひとりだ。

ジブリ、ディズニー、ピクサー、過去にも水の表現に重点を置いた作品は多くあったが、この作品はそのどれとも違う全く新しい奇想天外な水表現を作り上げている!

まず、水を使うために「火」を使うという発想が天才的。
そして、災いの象徴たる火と、救済の象徴である水、人生のメタファーとしての波が密接に物語に絡み合い、ただの実験映画ではないドラマに仕立て上げている。
これが単なる甘々恋愛映画としか見られていないのは理解に苦しむ。
こんな作品、湯浅政明以外誰にも作れない、まさに驚天動地な映画だ!

これから先何度も見返す作品になると思うが、その都度劇中何度も出て来るあのタルい歌を聴かなければならないという点だけがキツい。
なぜこれほどの天才が芸能事務所の資本に頼って映画を作らなければならないのか。日本の映画、アニメ業界が湯浅氏にすら投資を渋っているのなら、根本から見る目を失っているとしか言いようがない。

ネットフリックス、早く湯浅氏に十分な費用と製作期間を与えて映画を作らせてくれ。それは間違いなく、アニメ界にとってその先50年の財産になる歴史的作品になる。
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