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ナイブズ・アウト:グラス・オニオンのrayconteのレビュー・感想・評価

5.0
クリスマスといえばサンタ、サンタといえば殺し屋…俺は知ってるぞ、あんたは聖なる夜には血を見たがっていることを。
そんなやさぐれた心に、醜い金持ちどもが慌てふためくグラス・オニオンは最高のクリスマスプレゼント。
前作を遥かに凌ぐスケール、ブノワ・ブランよろしくねじくれたシナリオ、そして爽快なクライマックスと、どこを取っても楽しいこの続編は、一年の穢れを全部洗い流してくれるような傑作だ。

前作同様アガサ・クリスティへのリスペクトに溢れつつ、ひとすじ縄ではいかない展開の連続が興味を引き続ける。
ミステリードラマに見慣れている人ほど、このシナリオの展開には驚かされるだろう。
どこまでセットなのかわからないが、舞台となるグラス・オニオン屋敷の景観は豪華かつエドワードノートン演じる金持ち男の嫌味さを象徴する素晴らしい出来で、冒頭からワクワクさせてくれる。
脚本もさすが、ミステリーなのに凄惨なシーンも暗いシーンもほとんどないので気楽に見られ、作品中のほぼ全てのやり取りが伏線になっている忙しさで、方々に散りばめられたシャレの効いた小ネタもすべて仕掛けに繋がってくる快感もたまらない。
これは言うなれば超高級スパ、自分がなんもしなくても向こうが勝手に気持ちよくしてくれる。
先に言っておくが、ジャレッドレトのコンブチャ、ジェレミーレナーのホットソースなんてものは存在しないので検索しなくていい(俺はした)。
そしてなんといってもラストシーンの美しさと爽快感たるや…これは是非、会社を辞める時や彼氏と別れる時などの参考にしてほしい。

全年齢向けハートフル鬼退治物語「グラス・オニオン」を見て、疲れた心でこじらせた破壊衝動を笑いに変えよう!
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