茶一郎

タイムシェアの茶一郎のレビュー・感想・評価

タイムシェア(2018年製作の映画)
3.5
 ダブルブッキング!他人との共同生活から始まる地獄の高級リゾート宿泊。家族3人で少し背伸びした休暇を、と思って泊まった「楽園は目の前に」の楽園は、楽園というより地獄だったという家族崩壊劇・パラノイアモノ・堂々たるブラックコメディ『タイムシェア』です。

 サンダンス国際映画祭2018(第34回)のワールド・シネマ部門(US以外)で脚本賞を受賞した作品と聞いてNetflixに駆けつけましたが、これがまたサンダンス的と言うべきか、変な映画でした。
 他人(しかもちょっと変な家族)との共同生活に苦しむリゾートホテル客の父親、(こういう時に限って、妻と息子は共同生活について気にしていない)と、リゾートホテル従業員側の一人の父親を交互に映し、皮肉をこめて「家族」とアメリカナイズされていくホテルを描いていきます。
 文字通り「鼻を折られ」、父親以上に男として家族に居場所を無くす父親の姿は笑うに笑えない。

 脚本賞を受賞している作品ですが、脚本というより舞台となるホテルの切り取り方が奇妙で、エントランスから受付、外観を異常なまでの俯瞰視点で捉えたショット、また従業員パパが目撃する奇妙な英語講座、職場となる地下の洗濯場のダークな撮り方など、まるでホテルが悪の組織のように思えて非常に面白い。

 アメリカの本社からの刺客を演じた『ブレイキング・バッド』のウォルター先生息子役のR・J・ミッテ氏は、その無垢そうな顔立ち・話し方の反面、途轍もなく悪事を画策しているのではないかと疑いたくなる、(これまた)奇妙な立ち振る舞いがナイスでした。
茶一郎

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