エミさん

ディープ・ブルーのエミさんのレビュー・感想・評価

ディープ・ブルー(1999年製作の映画)
3.4
コロナなので、自宅で勝手にサメ映画祭を開催 その1

アルツハイマーの実験で遺伝子操作されて賢くなったサメが人間に復讐をする作品。確か90年代くらいの映画だったので、初めて観た当時は設定が凝っているなぁという印象があったが。今観るとサメのディテールは雑で残念なところ…。

登場人物一人一人に個性があって、死に様があって、それぞれのキャラが浮き彫りにされているシナリオが素晴らしいです。感情移入しやすくて、観ているうちに段々と自分も船員の1人という目線になってきたところで、大どんでん返しがあって、まさにパニック。
私はサミュエル・L・ジャクソン演じるラッセルに1番感情移入していたので、ラッセルの見せ場では思わず「ラッセルぅぅ~」と驚いて叫んでしまったくらいでした(笑)。
サメが賢くなって、することって、まず人間への復讐なんですね…。せっかく賢くなったんだから、他にもっと有意義なことすれば良いのになぁ。
(´・ω・`)

治験って普通ならラット様たちに要請するところですが、この研究所の人達には、何故かサメが身近にあるんだよなぁ。サメの脳から取ったタンパク質で研究推進をしたり、サメに精通したサメ使いなる不可思議な人々まで居て、爆笑の嵐。いや、映画だから突っ込んではいけないのですが…。

超高齢化社会に突入した昨今。認知症はもう身近な病気となってしまいました。原因は分かっているのに、進行を止める薬は未だ存在しません。万人を救いたいという気持ちから起きてしまった騒動だと思うと切ない作品です。
動物の中で、人間だけが『忘れる』という能力を持っています。
生きていくということは沢山の情報処理を伴います。
脳のシワは何歳でも増やせるそうですが、認知症は逆に脳を最適化しているのではないかとも言われています。
忘れる機能のないサメでこうなったんだから、人間に登用したら?と思うと、色々考えさせられます。
忘れるのを受け入れるか、ラッセル達のように抗うか…。
悩むところです。