エミさん

COME & GO カム・アンド・ゴーのエミさんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

TIFF2020にて鑑賞。
2020年リム・カーワイ監督による日本マレーシア合作制作作品。

もうすぐ平成から令和に変わるという時期。
大阪にやって来た外国人たち(主にアジア圏)が、町のあちこちで過ごしているそれぞれの様子を、良いとか悪いとかの批評ではなく、あくまでも淡々とオムニバスっぽく行ったり来たり(カム・アンド・ゴー)の映像で綴った作品。
観る前は、158分って長丁場だなぁ…と思ってましたが、どの登場人物も興味深い。「あー、大阪ならそういうこと、起こっていそう。知らんけど」と思ってしまうほど、ドキュメントっぽいリアルな演出で、日本における人種のるつぼ、大好きなディープ大阪を、また違った角度から見ることができて、楽しかったでした。

訪日理由が様々あることを写し、日本人との関わりや、日本の地に根を張ろうとすると、だいたいがお金絡みのトラブルを抱えていることとかが浮き彫りになっていて、どこ行っても、お金って必要だよねぇと頷いてしまった。

うちの近所(東京)にも、従業員が、店長以外は中国人という、某大手のコンビニがあったのですが、コロナの影響で中国の人達は全員、居なくなってしまい、コロナが少し落ち着いた現在は、日本人に混じって、ベトナム人が働いてくれています。
ありがたやと思う反面、何故、次々とあの人達は日本のコンビニに就労できるんだろう!?と、ずっと疑問に思ってたのですが、この作品を観て、滞在ビザのカラクリとか、コミュニティとか、少しだけ納得できたような気がしました。

「中国人は、日本のAVを見て育った」とかって、ものすごく歪曲した笑えるセリフがあったりして、他の国の人達も日本人に偏見を持っていることが分かる描写もあったり、日本人だって、訪日外国人に対して偏見や差別の目で見ていたり、事件があると容疑をかけたり、パワハラやセクハラなんかもあったりして、ズルい所も描写されていて、どっちもどっちであることがよく分かります。

今年はあれですけど、去年までは国内あちこちで外国人がいっぱいいらっしゃいました。…いや、友好的に過ごしてくれるなら、個人的には全然、どうぞどうぞ!って思うのですが、何年か前に、正月福袋を中国人が連携プレーで買い占めて高値でオークションかけた騒動とかあったし、悪質な事件を起こされると、ひとんち来て何やってんだよ!?って怒りを覚えて、不本意だけど不信感とか偏見が芽生えてしまうんです。
劇中でも、売上金を計上したら2万足りないって出来事が起こって、真っ先に従業員のネパール人青年が疑われて、しまいには警察に連行されてしまっていて…。切ないシーンだったなぁ。
犯人かどうか証拠もないのに、こういう事件が起こると普段接している印象とか全てがブッチされて「ああ、やっぱり…」的なイメージにすり替わってしまう。

「大好きな日本で生きていきたい」という純粋な理由よりも、「安全に大金が稼げる国、日本」が理由なの!?って疑いたくなります。
偏見の恐ろしさです…。

私も昔は、『外国人』ってだけで、得体の知れない人って思っていました。日本人は温和な国民性だし、鎖国だったお陰?か、外国人にあんまり偏見ないのか、挨拶したりして、意外にあっさり受け入れたりする人の方が多いと思います。
たとえ言葉が通じたとしても、その人の本質や来日した本心まで汲み取れるわけじゃあない。人は誰でも多面性を持っているし、好き嫌いとか生きる為の選択とか色々、思惑があるのも理解できる。
最近では、日本人の働き手の少ないエッセンシャルワークとか、今や外国就労者に頼っている風潮も一般的になってきて、近所に住んでいても普通に挨拶を交わしたりする。これが良いんだかどうか知らんけど…。

ラストシーンで、刑事役で出ていた千原せいじさんが、「人間関係の希薄さに問題がある」とか言うシーンがあって。。
この作品の本質なんだろうけど、なんでか「なんや、キャラ的に説得力ないなぁ〜」って失笑してしまいました。
ゴメンなさいね、せいじさん。
せいじさんは悪くない。
私の勝手な偏見です…( ̄▽ ̄;)

つまりはこういう事ですよね…。