エミさん

全く同じである彼女のエミさんのレビュー・感想・評価

全く同じである彼女(2019年製作の映画)
3.2
2019年制作作品。 TIFF提携企画、コリアンシネマ週間2020オンデマンドにて鑑賞。この企画が無ければ、出会えなかった作品。
医療問題とか貧困とか、家族に降りかかる様々な社会問題を絡ませた本作は、個々人が頑張るだけでは解決しない複雑な問題が身近にあることを感じさせながら、それでも自分で、どう選択をするか?という問題提起にもなっていて、家族の愛とはなんぞや?と思わせてくれる素敵な人間ドラマです。

釜山の坂上に建つ古い家に単身で住む72歳のマルスンの元に、孫娘だと名乗るコンジュという少女がやってくる。手には大きな包み、背中には乳児をおぶっている。喧嘩別れをした娘の遺灰まで持っていた。本当に孫娘?と思いながらも同居を始めるが、何もかもが正反対の2人。最初は衝突の日々だったが、段々と馴染んできた矢先、マルスンが認知症症状で近隣とトラブルを起こし、乳児の妹シンジュは皮膚に大火傷を負って入院となる。つぎはぎだらけの家族はまたバラバラになってしまうのか…!?というストーリー。

コンジュは頑固で、子供ながらに、なかなか肝が座っていて、まさに韓国のコメディードラマに出てくるイメージの子。

ラストシーンでは、自分で決めた選択を貫く方が、自己満足ではあるも納得出来るし、どんな結果であろうとも現実を受け止められるよね…と、ポロポロ泣きながら、私もコンジュ同様、自分を納得させてました。
大好きな人との別れの予感ほど辛く切ないものはないですよね…。
どうしたいのかは分かっているのに、自分がまだ非力で何も出来ない辛さというのは本当に胸が痛い。それを解決してくれるのは、大人になった自分しか居ないのです。
この作品も、時の経過が気持ちを浄化してくれるのです。
大人になったコンジュが最後に出てきます。
大人コンジュ役は、少女時代のスヨン氏!!
可愛い〜♪
( ´▽`) サプライズ〜
出演を知らなかったので、「ああ、コンジュ、綺麗になったね〜」なんて、ここはウルルンポイントでしたね〜。

そして待っているのは素敵なエンディングですよ。
儒教の国ならではのストーリーだなぁと思いました。
悪人は出てこない。
韓国のハルモニ達は力強い。

マルスンは国民的女優ナ・ムニ氏、子供時代コンジュは天才子役俳優キム・スワンc(2017制作の映画『新感染〜』でコン・ユ氏の娘役)という組み合わせで、去年(2019年)年末に韓国で話題になった人気作品だそうです。韓流好きなシネフィルさん達へお勧めです。

余談ですが、アルミ包みのキンパプ。同経験があります。本当に半日しか賞味持ちません。気をつけましょう。