日本では韓国の「反日」感情ばかりに注目するけれども、映画で描かれる社会を見るかぎり、実は「反米」感情の方が強いんじゃないかと。加えて「反政府」感情も強い。この作品に限らず、韓国社会が抱えてきた苦悩を映画が教えてくれる。
1997年の通貨危機を題材とした政治・経済サスペンス。現実味を帯びてきた国家「破産」の危機に対し、情報を公開して国民への影響を最小に抑えようとする者たちと情報を秘匿して政権への影響を最小に抑えようとする者たちの対立を描く…
見ていて暗澹とした気持ちになった。税金無駄遣い、借金返済先送り、信用失墜、情報秘匿、大企業優遇、非正規雇用拡大、中小企業倒産、失業者増大、そして自殺蔓延って、まるでどこかの国の現在および未来を見るようで。
「宴は終わった」…日本も再び「宴」に入りこんでいるんじゃないかと。この映画を見て、不安が増した。他山の石としなければと。
それにしても、韓国映画の政治・社会批判のまなざしは相変わらず鋭い。映画人の「気概」のようなものを強く感じる。…ってことで、次はポン・ジュノか。期待大きい『パラサイト』。