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Fukushima 50のDcatcHerKのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.5
 世の中、コロナウィルス騒動でもやっとした感じで、明るい話題がなかなかない。
 映画を観るのも久しぶりになってしまった。
 こんな時に観る映画としては、意外と日本人として勇気づけられ、誇りに思う映画かもしれない。
 この映画、福島第一原発事故を取り上げたもの。
 内容としては、現場の人間の大変さや、人間がいかに職責を全うしようと、自己犠牲の精神で働くかがわかる映画だ。命がけで戦う人たちに心から感銘し、自然と涙がこぼれた。
 刻一刻と迫る危機的な状況を描くシーン、多くの俳優陣の素晴らしい演技。それでも、現実はもっと切迫していて、危機的な状況に置かれた人間が、それぞれが本性を現して人間同士の軋轢が凄かったと思うが、そういった状況をリアルに描いていたように思う。
 この映画は、ジャーナリストの門田隆将さんのノンフィクション書籍『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』を映画化したものだという。「事実に基づいた映画です」の字幕が最初に出るが、きっと多くの人を取材し、多くの時間と労力を費やしたのだと思う。そして、それを映画化した若松節朗監督の映像、テンポも良く、映画として、スケールの大きな、見ごたえのある映画だった。
 今まであまり意識しなかったが、ここ十年くらい、メディアが取材の労を惜しみ、一時ソースを安易に垂れ流すなど、事実よりスクープを狙ってばかりで、記者も上から目線の人が目につくようになった。
 真実を追求することは多くの労力と知識、丁寧な取材が必要。そして、偏りのない公平な目線が大事だと思う。
 今、コロナウィルスの件で、いろんな情報に右往左往する人、右往左往させようとするメディアや識者と名乗る人たちがいるが、この映画のように、医療の現場で頑張っている人たちを信じて応援し、自分たちは「感染しない、感染させない」を徹底させることが大事なのだと、この映画を観て思った。日本人の良さを思い起こさせ、取るべき行動を示唆する旬な映画だと思う。
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