ウマノホネ

ホテル・ムンバイのウマノホネのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
3.7
インドで実際に起きたテロ事件を映画化。
テロによる無差別殺人の残虐さや、そこに巻き込まれた人々の恐怖、緊張感が伝わってきます。

テロの最初の標的となったのは『スラムドッグ$ミリオネア』でも撮影場所となった駅だそうで、
おりしも直近にこちらの作品(録画していたもの)を見たばかりだったので、
インドの貧困や格差、宗教の対立などを、二作品の関連をもって鑑賞することができました。

テロ行為は完全悪として断じて許してはならない!というメッセージとして受け取ることももちろんできる一方で、
だからといって、強制的な排他主義を薦めるような作品でもありません。

躊躇することなく人を殺めていく若いテロリスト達の邪気の無さ、
彼らを裏から操るという見えない構成(そこには隣国との対立、あるいは、自国内の分裂によるものと言われる)が不気味に絡み合っています。

そんな中で被害者となった人たちの決死の行動は、私には(自身に置き換えても)想像に絶するものだったので、だからこそ感動しました!

出演者がインタビューで伝えているように、鑑賞者として大事なことは、
実際の出来事を映画を通して理解し、想像力を使って、ではどうすべきかを考えること、
それを教えられました。

印象に残った場面はたくさんありましたが、
無事に家に帰ったアルジャンが目にする、自分の子を洗ってやっている妻の姿、
この、たくましくも日常の風景こそが、物語のエンディングとして本当に感動的でした。