ウマノホネ

イップ・マン 完結のウマノホネのレビュー・感想・評価

イップ・マン 完結(2019年製作の映画)
3.7
シリーズ前作で妻を亡くし、今回の作品は彼の弟子である小龍、ことブルース・リーとの物語かと思っていたのですが、
アメリカ、サンフランシスコを舞台にして、故郷の息子への思いや、現地での中国人同士の絆を描いた物語でした。そこに、シリーズを通して描かれ続けてきた劇中の役としての、また役者としての"ドニー・イェンのイップ・マン"の人柄や信念、人となりが受け継がれ、また、タイトルにある通り今作で『完結』というので尚更、感慨深いものがありました。
映画の最初、息子と二人で暮らす部屋での薄茶色の部屋着(肌着)をまとう彼の姿から、最後に自分の姿を息子に録画するように伝える場面など、彼自身の老いと、そして最期が感じ取れます。
しかし、それ以上に感動したのは、やはり彼の闘う姿!
アメリカ帝国主義的な環境でのいじめを見過ごせず、白人至上主義(というより自分至上主義!)の権化のような悪人(これまた迫力満点!!)を相手に、己の信念のために立ち向かい、屈することなく立ち上がり、勝負のついたあとにどこか寂しげにも感じられる静けさで立ち尽くす、そんな彼の姿に涙が出てしまいました。