じゅ

グロリアス 世界を動かした女たちのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

力強いな。

幼年期からちょっと成長した頃のグロリア・ステイナムをやってたルル・ウィルソンってどっかで見た顔だなと思ってたけど、『アナベル 死霊人形の誕生』かー。


運動家の伝記を見るとうっかりその運動の対象である社会問題に対して物申したくなるけど、本作はそんな問題提起のもっと深い根っこのところにある勇気と執念と信念の物語だったと思う。
グロリアの内心を表したような謎の演出もあったことだし、極々個人的な話だったのだろう。

べつに彼女は生まれつきの超人じゃないし、世界の悪事を第三者視点で見て現れる正義のヒーローでもない。
元はパパとママとダンスが大好きで大きな家と立派な車を夢見る普通の子供で、下衆の下心や不可抗力の妊娠といった理不尽を生身で経験した人だった。
まあ、子供の頃から旅の中で育ったとか、物書だった母の影響もあってか記者になってSNSも無い時代に見聞が広がったことは特殊だったかもしれない。でも、あがり症で演説は滅茶滅茶だったのにはなんかほんの少しだけ親近感を覚える。
要は、世界に何かの問題を気づかせるのは世界のどこかにいるかもしれない力ある者じゃなくて力なき自分からでもいいじゃないかっていう勇気のお話だったように見えた。

まあそれをするには、その問題が世間に埋もれた大多数にとっての問題である確証か、あるいは解くべき問題であるという明確なロジックは必要とは思う。それはまあ置いておいて。


グロリアの生涯をバス旅に喩えて、1人で始まった旅路にやがて古い奴隷根性に支配された敵意の老人たちが同乗して、そのうち老若男女白黒等々様々な人たちに囲まれていく描き方が洒落ていた。

バスは周回しているらしい。後続の戦いの歴史が紡がれているということだろうか。
最後に立っているのは自分じゃなくていいみたいな姿勢かっこいいと思う。
じゅ

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