ゆめちん

クローブヒッチ・キラーのゆめちんのレビュー・感想・評価

クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)
3.5
クローブヒッチ・キラー
 
田舎町に暮らす16歳のタイラーは、父親の車の中でポルノ写真を見つけてしまう。不審に思った彼は、同じ学校に通う風変わりな少女カッシとともに調べを進める中、父親が10年前に起きた未解決の連続殺人事件の犯人ではないかと疑念を抱く。

片田舎の小さな街、教会に集う敬虔な家族、ボーイスカウトに勤しむ少年たち、どこか息苦しく閉鎖的な雰囲気を感じながら、連続殺人事件の謎解明と、思春期の少年が父への疑惑と葛藤を経て大人へと成長する様が描かれる。

物語に緩急の激しさはなく淡々と進み、そのテンポが逆に不気味さを醸し出し、最後まで緊張感を持ちながら楽しめる。直接的な凄惨描写はほとんどないのに、生々しさを感じさせる巧妙な演出は見事。

注目作が続くチャーリー・プラマーの、思い悩み心を揺れ乱す主人公を繊細に演じ、父への敬愛、疑念、恐怖など様々な感情が入り混じった複雑な表情が印象に残る。

タイラーの父親を演じるディラン・マクダーモットの、敬虔なクリスチャンで家族愛に満ちた父親だが、どこか奇妙なところもあり、"犯人なのか、違うのか" と思わせる演技が光る。彼の自撮りシーンが忘れたくても頭から離れない。
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