keith中村

グッド・ボーイズのkeith中村のレビュー・感想・評価

グッド・ボーイズ(2019年製作の映画)
5.0
 本作を仕事終わりに観て、今電車に揺られて、しみじみ思い返しながら帰ってきて、なぜか「バトル・ロワイアルII 鎮魂歌」のテーマ曲、スタンス・パンクスの「真夜中少年突撃団」を聴きたくなったので、聴きながらレビューしています。

 そりゃ、予告篇見た時点で、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の小学生版ってことはわかるわけですよ。
 だから、笑わせておいて、最後にしれっと泣かせに入るんでしょってことは予測がつくんですよ。
 でも、いざ見始めると、成長譚ってことは自明なんだけど、なかなか明確なテーマが提示されないので、これで大丈夫かなと思った矢先に、この3馬鹿大将は、ハンナとリリーの会話にちょっとした疑問を感じるわけですよ。
 「友達って家が近いからとか、親同士が知り合いとかだからじゃないの?」
 ああ、テーマ来た!
 
 あかん、これ、ヤバいやつや!
 こんなん絶対泣いてしまうテーマやん!
 節子、それ、コメディやない!
 
 ま、結局まんまと泣かされたわけですが、まあでも、悲しいものじゃなく、いわゆる通過儀礼としての発展的解消なんで、これはこれでよかった。最後の最後、また馬鹿で終わるしね。
 ちゃんとしかるべき年齢でチャイルドフードと決別できたんだから、こんなに幸せなことはないと思います。
 たとえば、「フロリダ・プロジェクト」のムーニーちゃんに比べたら、全然幸せなわけですよ。
 
 でもね。
 今、「真夜中少年突撃団」聴いてるんですよ。
 もう歌詞聴きながら号泣なわけですよ。
 
 多分、本作は人生で2度くらい観返す時が、若い皆さんにはあると思います。
 ちょうど私が高校で「スタンド・バイ・ミー」を観て、そこまで感動しなかったけど、後で号泣! みたいな。
 当時は「12歳の時の様な友達はもう二度とできない」ってあの映画のキャッチコピーに「けっ!」とか思ってたよ。そんなん高校の友達の方が、サブカルとか小説とか音楽とか映画とかめっちゃ話合うし、こっちのが最高じゃん! とか思ってたもんね。
 結局歳が近いんで、マクロで見るとおんなじティーンエイジ、おんなじフェーズにいるので、そこまで沁みないんですよね。
 でも、だいぶ時が流れて、後で振り返ると、こういう映画にこそ号泣しちゃうものなんです。
 
 まさに、「真夜中少年突撃団」の歌詞がリアルタイムの出来事を語ってるようでいて、実は過ぎ去ったものを懐かしんでいる内容になっているのと同様に。
 ただ、「真夜中少年突撃団」の偉いところは、最後にもう一盛り上がりあって、「でも、俺たちはいつまでも馬鹿でいるんだぜ~!」というエモさで終わるところ(そこが本作との共通点!)。
 なんてことを、52歳のおじさんになっても思えるんだから、素晴らしき哉、人生! なんですよ!。
 
 なんか、最終的には、「グッド・ボーイズ」評だか、スタンス・パンクス評だか、解んないことになっちゃった!