さうすぽー

スウィング・キッズのさうすぽーのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
2.1
自己満足点 41点

この映画は結構好きな人も多く、年末にTwitterで上げていたベスト10にも多くの方が本作を入れていました。
ただ申し訳ありません、自分はこの映画嫌いです。

観終わった後、こんな気持ちになりました。
「許せない!!」


朝鮮戦争中の韓国にあった北朝鮮兵の収容所を舞台に、タップダンスの一団を作る物語。

主人公は北朝鮮兵で英雄と崇められてる人物で、かなりの問題児として警戒されてますが、その中で黒人の軍曹に出会い、同じ仲間と共にタップダンスに目覚めていく物語ではあります。


まず、主演のEXOのメンバーであるD.OはK-popアイドルをやってるだけあってタップダンスが本当に上手いです!
そして、黒人俳優の方もタップダンスをやられてるのかプロ並に上手く、タップダンスと主演俳優のダンス対決が非常に良かったです。

自分はジャズが好きなので、そのジャズバンドとタップダンスを掛け合わせたダンスショーは圧巻です!

ただ、劇中で流れるBGMが時代にそぐわなかったりと選曲に関しては突っ込みどころがあります。
(ビートルズはこの時代じゃないし)

ストーリー的には、黒人の軍曹を筆頭に主人公である北朝鮮の軍兵と水商売をやってるヒロインや中国の軍兵等と共に、国や歴史等と衝突しながらも次第に交流を深めていく、といった王道のストーリーに当時の朝鮮収容所の残酷な出来事と共に展開が進められていく話。

その王道のストーリー部分は個人的に好きなんです。
戦争中の中で憎み合いながらも絆を深めていくという夢のあるストーリーに当初は惹かれていたのですが、その収容所の朝鮮と米兵の抗争を混ぜてしまったのが自分として好きではありませんでした。

確かに、収容所では劇中の事件があったのかも知れません。
朝鮮戦争の最中でしたし、北朝鮮とアメリカという憎むべき敵と一緒にいますから、何があってもおかしくはないと思います。

ただ、その上で言わせて下さい。
天外者の森川葵ではありませんが、音楽映画なんだから、
「夢くらい見たって良いだろ!」

結局、軽快な音楽映画にシリアスな収容所の出来事が個人的にマッチングしているとは思わなくてかなり幻滅してしまいました。
そして、極めつけは終盤。
明るい音楽映画とは思えないような悲惨な展開は個人的には最悪でした!
音楽の絆で「憎み合う」のは変わらないという展開にするのは理解しますが、わざわざあんな展開にすることは無いだろうに...
そして、あんな展開させておいて何でラストであの明るい感じで締めようとするんだよ!?意味が解らない!

この映画のメガホンを勤めたのは「サニー 永遠の仲間たち」を手掛けたカン・ヒョンチョル監督です。
サニーは当時のシリアスな情勢を織り混ぜながら高校時代という青春の光と影の部分を凄く丁度良い具合に描いていて、ラストも明るい気持ちで観れました。
なのに、今作はそんなカタルシスすら感じません。
せめてあの終盤の展開にするなら最初からコメディタッチに描くなよ!


そんな感じで、今作は正直好きになれませんでした。
とりあえず、韓国版サニーを観てお口直しします。

2020年映画ワースト10「第10位」