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天気の子のSAVEのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

正直なところ、あの社会現象ともいえる大ヒットをとばした「君の名は。」は私にはあわなかった。だから、この「天気の子」も敬遠してしまって、今の今まで観なかったのだが。

素直に泣いてしまった。良かった。
絵や背景は相変わらず美しい。それに加え、相当リアルな日本の現代社会、東京の描写も凄い。私は地方県民で、東京はまだ両手の指で数え切れる程しか訪れてないが、訪れたときの東京の空気をありありと感じられた。

シナリオ面では確かに穴も多いが、人物の心情の描写は丁寧で共感できる部分も多かった。帆高の感じていた田舎の息苦しさ。帆高・陽菜・凪の未成年ゆえに開かれない社会への息苦しさ。須賀の、大人ゆえに大切なものの優先順位が決まってしまって、正しいことしか選択できなくなってしまっていることへの息苦しさとか。
主人公・帆高はかなり反社会的な少年だ。親から逃げ、警察から逃げ、あげく拳銃を人に向ける。だが、恐らく新海監督が今作で描きたかったのは、誰かによって決められた社会、世界への反抗であると思う。
こうしなくちゃならない、これが正しい。当たり前に私たちの認識としてある良い事と悪い事の区別。本当にそれは全てが正しいのか?自分の正しいと思う選択を選んでもいいんじゃないか。この映画にはそういったメッセージがこめられているんじゃないかと私は感じた。

だが、極端な話になるが、メッセージ性があるとはいえこれは決して社会に反したことを全肯定する映画じゃない。帆高が陽菜を選んだことにより、東京は水没してしまい、自分たちに良くしてくれた人の家も水の底に沈んでしまう。反抗するのであれば、それ相応のリスクが伴う。世界を歪めたリスクを、帆高だけでなく、陽菜も一生背負っていかなければならない。窓の外の雨を見る度に。

リスクを背負う2人の未来は決して明るいものではない。バッドエンドともとれるエンディングだが、この映画のエンディングとしてこれは最高なのだと思う。
賛否両論分かれる映画だとは思うが、私はなかなか好きな作品でした。
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