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黒い司法 0%からの奇跡のQvQのレビュー・感想・評価

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
3.8
冤罪率が10人に1人。その重さ。

人種差別は本当にひどい。感覚的には時代錯誤な気がするけど、まだまだ全くもって現実なんだなと改めて思います。そこに正義があるとは思えない司法。アメリカは司法の先進国じゃないの?これは実話の映画化なんだよね?と何度か思いましたが、そういう理解できない判決はたまにこの日本でも見かけるような気もします。

黒人というだけで簡単にターゲットになって冤罪が作られていく。本当にあり得ないひどい話です。でもそれは単純に白人ひどーい、って話でもないですよね。いや、彼を死刑囚に仕立てた人たちを酷いとは思いましたが、どんな人種でも荒れた人もいれば健やかな人もいる。荒れなければやってけなかった人もいるしそんな状況を生む現実もあったりする。その上で人が人を裁くには平等であること、正義を持って裁く心が必要だってことなんだと改めて思いました。裁く側はどんなに面倒でもきちんと事実を見つめ、冤罪を絶対に生まないと誓って仕事をするべきです。

差別を超えた支配とも言えるような状況に立ち向かう人間の勇気は計り知れない。逃げようと思えば逃げられるのに立ち向かえる意思の強さはすごいと思う。ただそれと同時に常日頃自分がどれだけ黙り込んでいるのかを示されたようで恥ずかしくもなりました。常に立ち向かう人にはなかなかなれないけど、せめてここぞという時にはきちんと意思を示せる人間でいたいなと思いました。

同じ人間として生まれながら差別に苦しんで暮らしている人がまだまだこの地球上にはたくさんいる。こういう映画を観て時々はそれに想いを馳せることにも意義はあると思いたいです。何となく後回しにしてたけど、こういう作品も避けずに観ていかなきゃなと思いました。

タイトルにもある通り、最後は正義が保たれてモヤモヤもイライラもスキッとして終われます。娯楽性はないけど、爽快な気持ちにはなれると思います。是非!
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