QvQ

生きるのQvQのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.2
世界の黒澤。私は何本観ただろう?いや、もしかしたら1本も観ていないのでは?これ観たぞという作品が全く浮かばない。なぜ黒澤が世界でも賞賛されているのか。何故この「生きる」という作品が高く評価され続けているのか。私はこの年まで全く分かっていませんでした。お恥ずかしい限りです。

銀座にある映画博物館に行った際、確かこの「生きる」が特集されていて、志村喬さんや黒澤監督の展示を見た覚えがある。黒澤さんって確かめっちゃ背が高かったような。まあその程度の知識。名作とは聞いているけど観たことない作品はそれなりにあったりするけど、とりあえずそれは死ぬまでに一つ一つクリアしていくつもりなので、その一環としてこれも観ることができて良かったです。

アンパンマンの歌じゃないけど、何のために生まれて何をして生きるのか。わからないまま終わる、そんなのは嫌だという思いは自分の中にもどこかにはある。生い先短くなってようやく気づくのかもしれないけど、まだまだ死など意識しないうちはそんなことは忘れてしまっている。そんなことを、この偉大な作品は作品として存在することで常に教えてくれているのではないか。あの「生きる」という映画のような気持ちをわすれるな、と。

ともすればご教訓的になりがちなテーマを、まあ多少は感じなくもないけど、やはりそこは巨匠。見事に描き切っていると思った。息子よ、親の想いを、親の背中を見て知れ。私もそんな何かを残せたらいいけど。観た気になってる中高年の皆さんにももう一度観てみてはいかがとお勧めしたい。退職まで、またはこの世を去るまでの過ごし方が変わるかもしれませんよ。
QvQ

QvQ