牛猫

犬鳴村の牛猫のレビュー・感想・評価

犬鳴村(2020年製作の映画)
1.8
霊が見えるヒロインが、次々と発生する奇妙な出来事の真相を突き止めようと奔走する話。

「呪怨」で佐伯伽耶子・俊雄という最恐のキャラクターを生み出した清水崇監督ということで、否が応でも期待値は上がってしまうけど、伽耶子や貞子のようにインパクトのあるお化けが現れるわけでもなく、どこかで聞いたことあるような都市伝説や怖い話の寄せ集めのような作品で、いまひとつ心惹かれるものがなかった。タイトルにもなっている犬鳴村の背景を現代と過去を交えながら描いていたけれど相関関係も分かりにくい。現代パートのあまり関係ない人がバタバタ退場していく展開も胸糞悪い。ダムに沈んだ村という設定や全体の雰囲気は悪くないし、ポスターに使われている人の顔に見えるトリックアート的な画像のインパクトは良い。
しかし、電話ボックスに無理やり閉じ込められるところや、高島礼子の凄まじい暴れっぷりに笑ってしまった。改めてホラーと笑いって紙一重だと思った。

主演の三吉彩花のホラーに似つかわしくないスタイルの良さもなんか浮いていたし、ボスキャラ的な女の子も関節コキコキさせながら近づいて来るいつものパターンで冷めてしまった。伽耶子ほどのビジュアルのインパクトもなければ、貞子ほどのバックボーンや設定の強さがあるわけでもない。ただ一人目の犠牲者となる兄の彼女の散り様には不意をつかれたし、病院での見え隠れする女の幽霊にはワクワクした。
石橋蓮司とか奥菜恵とか高嶋政伸とか、相応のキャスティングを揃えているのだからもっと出番を増やしてほしかった。

このジャンルにしては興行収入的には大成功だと思うし、村シリーズとして続編も制作されているけど、ジャパニーズホラー好きな人には物足りない作品だと思った。
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