しおえもんGoGo

アスのしおえもんGoGoのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「見終わってから良く考えると設定やストーリーに粗があるけど、見ている間は全く気にならない」という、グイグイ引っ張るパワーのある作品があって、今作もそうなりかけてるのにやっぱり粗が大きすぎて気になる、という点でゲットアウトよりは少し残念だった。

テーマ性の部分でいろいろと深読みしたくなる話だからこそ、余計に「これってどういうこと?」を考えてしまい、そうなると整合性が取れない(分からない)部分が目について邪魔してる感じ。
例えば地下でかなりの時間(何世代って言ってなかったかな?)も放っておかれたことになっているけど、「何世代」ってどうやって?とか。放置後に生まれた子供もうまい事シャドウなの?とか。上の人の行動をミラーリングしてるのにどうやってウサギの皮剥いて食べてるの?とか。

それはそれとして、レッド達4人が最初に姿を見せたときに黙って立ってるだけなのにめちゃくちゃ怖いとか、初めてしゃべった声の不気味さの衝撃とか、何か不穏な感じがずっと続く怖さはとても良かった。

また自分の利益のために見知らぬ誰かが苦しんでいることが目に入らないというテーマ性も良く、レッドが「私達も人間だ」ではなく「私達もアメリカ人だ」というところに、監督の意図が良く表れていると思う。

そういう演出やテーマ性がいいだけに、やっぱり地下の設定をもう少し納得できれば良かったのに残念。でも上の人のスペアとしてのクローンという設定ならもうありふれてるし、魂を分かち合うというアイディアは面白い。

特に序盤、不穏な空気をアデレードも見てるこっちもビシビシ感じているだけに、能天気すぎる旦那にイラっとして、「だから男ってあかんねん」と自分の旦那にイラっとするような気分になって、それが妙におかしかった。
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