旅の途中で出会ったローラを連れ、父が結婚式を挙げる実家に帰ってきたギャスパール。そこは家族で営む動物園。
偽装恋人の件から手垢のついたロマコメみたいだけど、実はホームドラマ。猛獣のインパクトに負けないよう、クマの毛皮着た妹に全裸親父と変人キャラを配置するのがわざとらしく滑ってる。動物でなく人間の生態を観察する趣向なんだろうが、よそ者として巻き込まれるローラも狂言回しという訳ではなく、これといった背景もなく最後までよくわからないキャラクター。一番掴み所ないのは主人公ギャスパールだ。かつて発明家少年だったり、妹に愛されたりするものの、損な役回りの長男が嫉妬するほど「何もしないで愛される」魅力がまたわからない。結局、何か訳ありっぽいだけの家族はそれぞれ転機を迎え、何となく自己解決してしまう。
しかも『ホテル・ニューハンプシャー』『はなればなれに』『ジュテーム・モア・ノン・プリュ』とか、元ネタを消化しないまま必然性もなく放り込んであるのはどうかと思う。動物の扱いも気になった。
