はる

エクストリーム・ジョブのはるのレビュー・感想・評価

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)
4.1
韓国は20世紀までは“麻薬清浄国”と呼ばれていたというが、近年で爆発的に摘発が増加しているという。劇中でも捜査官たちが「ヒロポン」と発音する(経緯は言うまでもない)覚せい剤やコカイン、大麻などだが、どうやら中南米といった生産地から中国や日本などへの輸出の中継地として韓国が選択されているということだ。
こうした背景を知らずに観ても問題ないし、作中で繰り広げられる組織の手口はあまりにユニークで問題の深刻さはあまり伝わらない。ただし、現地での受け止めや社会問題として浮かび上がっていることが今作のとっかかりになっていることは想像に難くない。

コメディ、アクションがとにかく振り切れていて本当に楽しい。コ班長演じるリュ・スンリョンは以前からマッチョなイメージでキャリアを積んできたというから、こうしたコメディ演技は新鮮なものだったのでは。今作しか知らないのだけど、今後日本での公開作でも多く観られるようになると思わせる。世代としてドジな主人公チームが繰り広げるドタバタは『Mr.Boo』シリーズを思わせるような滑稽さだったので少し懐かしい感じもする。
また女性陣のアクションも目を引いた。チャン刑事ことイ・ハニと、組織のボスの右腕(ボディガード?)のスン・ヘを演じたジャン・ジンヒは相当な訓練を積んだと思われるが、イ・ハニはミス・コリアという経歴もあるということで、逸材なのだろうと思う。

とは言え、今作でのキーワードは何と言っても「お金」だろう。主人公たち捜査班には常にそのことがつきまとい、振り回されている。それは韓国社会の状況を反映しているのだろうし、今作でのフライドチキンは貧困の象徴だ。だから配達先は概ねそのように描かれたし、対照的にあの優秀な捜査班は焼肉を食べていた。

国内で上映される韓国映画はクオリティが高く、観た作品はまだまだ少ないがどれも面白い。『パラサイト』のこともあるが、こうしたコメディとアクションで文句なしに楽しめる娯楽作まで作っているので、本当にこれからも注目していきたい。
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