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エクストリーム・ジョブのsanbonのレビュー・感想・評価

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)
3.7
料理に対する信憑性がイマイチ。

韓国映画を観ると常々思う事があるのだが、整形大国と謳われる韓国において、何故役者業をしている方達はあまり見た目がよろしくない…失礼、ナチュラルな方が多く見受けられるのだろうか。

もちろん、全俳優を指しての意見ではなく、中には日本人から見ても正統派な美男美女は確実にいるのだが、ワールドワイドな知名度を誇る作品で見かける韓国人俳優って、味はあるけど何故か第一印象は決してイケてない風貌の人が圧倒的に多い気がしてならない。

仮に、同じ芸能界の中にあって韓流アイドルと呼ばれる方々は、同じ髪型同じファッション同じ顔立ちで、どこからどうみても弄り倒した整いすぎている量産型な容姿をしているのに、韓国映画を観ていてそういう人が役を演じているのをあまり見た記憶がない。

そう考えると、こうもハッキリと棲み分けができているのがとても不思議でしょうがないのである。

少なからず日本であれば、アイドルが俳優として活躍するケースはザラにあるし、個性派と呼ばれる人を除けば、アイドル兼業とそうでない方とのルックスにも大きな差は無いように感じる。

もっと平たく言えば、日本人俳優は知名度が無くても芸能人だと分かるくらいの容姿は備えてる方が基本的に多いのに対し、韓国人俳優は知名度が無いと一般人との差をあまり感じない容姿の方が多いと感じてしまうのだ。※あくまで個人的な意見です。

まあ、リアリティや生々しさを一つの売りとしている韓国の演劇業界であればこそ、見た目も"リアル"に特化していると考えればまあ合点はいくといったところだろうか。

さて、韓国大好きさんがこれを読んだら殺されそうな話題で初っ端から脱線してしまったが、そんなリアリティ重視の韓国映画において、今作に至ってはリアルからは逸脱したコメディ作品となっている。

それにしても、ここ最近の韓国映画は驚く程に突出して面白い作品が本当に多くなっている。

最近観た韓国映画は全て当たり作ばかりだし「パラサイト」も「EXIT」も、巧妙な仕掛けが光る脚本がとても秀逸で、なにより見やすいうえに新しいのである。

しかも、その見やすさにはどこか邦画のノリに近いものを感じるのだ。

例えば、今作の大枠となる「警察官が張り込みの為にフライドチキン店を経営する」という設定なんかは、どちらかというと日本のシチュエーションコメディの雰囲気を醸し出している。

恐らく、この"親近感"が昨今の韓国映画をより魅力的にみせている一因となっているのだろうが、クオリティ面においては「今日から俺は‼︎」を大作映画として劇場公開出来ちゃう邦画界は、韓国映画の足元にも追いついてはいない事だけは強く言及しておきたい。

ただし「なりゆきで始めたフライドチキン店が、予期せず行列を作る繁盛店になってしまう」という、次のステップとなる展開を裏付ける為の信憑性が欠けてしまっていたのは、大きな減点対象であり少し残念な部分であった。

というのも、劇中で人気を博する事になる問題のチキンが、あまりにも平凡なのである。

揚げ方に意外性を持たせる訳でもなく、味付けもカルビ味というまあどこにでもありそうなものだし、とにかく"特別感"がないのだ。

ここは、現実にやったら失敗するだろうと思うような無茶な調理法でもなんでもいいから、何がなんでも一大ブームを巻き起こす程の意外性と特別感は必須だったと思う。

何故なら、そこの信憑性が抜け落ちているだけで、物語への没入度も格段に差が出てくる筈であり、少なくとも僕個人としては、如何にして繁盛店になったのかという"プロセス"が今作での一つの楽しみでもあったから、それが腑に落ちなかった分だけその後の展開にもノれないところをどこか感じてしまっていた。

ちなみに、僕は過去に2度韓国に旅行に行った事があるのだが、韓国料理は意外と味に深みがないというか淡白という印象を持っている。

焼き肉にしたって、主に食べられているのは豚肉だし、タレは大概ごま油に塩を溶かしたものが主流だしで、韓国の焼き肉は美味いと聞いていざ食べた時は露骨にガッカリしてしまった記憶があるし、アワビ粥のような韓国を代表する伝統料理も、名前や見た目とは裏腹に、味が単調過ぎて食べた時の感動は感じられなかったのだ。

話に聞くところによると、今韓国のYouTube界隈でブームとなっているワックスボトルなんかも、液体をコーティングしているボトル部分は全くの無味で、まるで蝋を食べてるような食感がして激マズらしいし、根本的に僕自身があまり韓国の味覚を信用しきれてないのも原因ではある。

という事で、今回一番引っかかったのは、肝心な店の人気に紐付く信憑性についての描写不足があったが、それでも設定自体の面白さ、展開のダイナミックさは十分に一見の価値はあったし、どうやらこの「JOB」プロジェクトは今後シリーズ化していくようなので、その記念すべき第一作目としても必見と言えよう。

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