アムロ、あんたちょっと
ずるいよ! 来るかい?
嘗ての少年は少女を只
見送るしかなかった…
アムロとシャアその
主人公たる二人には
脇役でしかなかった
少年は今、大人となり
闘いの舞台に上がる!
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」
U.C.0105
人類が増えすぎた人口のはけ口を
宇宙に求めてから、一世紀以上
シャアの反乱から12年…。
マフティー・ナビーユ・エリンを名乗るテロリストは地球連邦の政治家への暗殺とシャアが唱えた全人類の宇宙移民を唱え活動を開始する。ブライト・ノアの息子ハサウェイは月から地球への道中、嘗て愛したクエスを感じるギギと出会い、その正体を見抜かれる。ハサウェイがマフティーであるという事実を。そして彼の運命を左右するもう一人の人間ケネス大佐とも、マフティーを名乗るテロに巻き込まれながら…
ガンダム史上最も悲しく、その存在すら疎まれた鬼子である作品が遂に…映像化に。その飛び抜けた、戦争ではなく反乱でもなく、リアルにテロリストを描くそのストーリーは果たして今の時代に合ってるのか…。
地球連邦軍はシャアの反乱そして、アムロとシャアが見せたニュータイプの奇跡、更にユニコーンが、暴いたニュータイプの真実を聞いてすら、人は変わろうとしなかった…。富野由悠季が語るニュータイプ論の背後にあるのは、人は変われるではなく、変れないというエゴが渦巻く悲観論であり、イデオンと並んで僕の中ではそれが諸に出てくる物語だと思っている。故にそれをどうリアリティを持って描くのか、注目していた。
オープニングから雰囲気は007であり、リアリズムとガンダムらしさが相まって不思議な空間を作り出す。ギャプランによる高度ハイジャックとは恐れ入る(笑)そしてニュータイプ感を振り回すギギという少女の存在。クエスを感じるハサウェイ。ガンダムらしさが迸る。またメッサーとグスタフ・カールの戦闘。テロリストらしく夜間戦闘が中心であるが、表現はリアリティに富み破壊描写もガンダムらしい。只…ほぼ見えない故に…バンダイからは難色を示されたのではないか。全体像が見えないモビルスーツをプラモで買うのはマニアだけだろう。同じことが新型ガンダムであるペーネロペー、クスィーガンダムにも言える。この部分はこの後続くストーリーに期待だろう。
今回は序章といったところか。背景をある程度説明し、キャラクターの立ち位置を見せるといったところが。ハサウェイは何故シャアへと傾倒したのか、あの時決死で闘ったものへのレクイエムなのか…。まだまだ見るべき部分は多いだろう。音楽とのリミックスも明らかに令和のガンダムらしさが感じられる。
宇宙世紀はまさに昭和にはじまり、平成、令和へと到達した。ガンダムは自体が45年を迎え、最早歴史劇となりつつある。はたしてこの悲劇はその歴史劇の中にどの様な楔を打ち込むのか…楽しみは尽きない。