踊る猫

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティーの踊る猫のレビュー・感想・評価

4.7
こんなからくりに騙される人も居るんだ、と呆れたのだがもちろんそれは「たまたま」騙されていない私だから言えることである。もし自分が参加するプロジェクトが(それが単なるカスタマーとしてであっても)こんな夢そのもののイメージを売り出していたら、その魔性の魅力に引き込まれて内心の良心が発する警告も忘れてしまうに違いない。その意味では他人事として嗤うことができない「苦い」ドキュメンタリーであるとも言える。一番「苦い」のは、クリエイター側が首謀者のビリーを除いてみんな「いい人」であること(いや、ことによるとビリー本人も?)。誰かを騙して大儲け、という意図もないでもなかっただろう。だが、それ以上にインスタに代表されるハッタリだらけの世界を具現化することに情熱を注ぎ、それをカスタマーに提供したいという熱意と誠意が空回りしまくった挙げ句、現実を見極めることもできず(むろん見極めた人間も居たが、その声を無視した挙げ句)失速した。それが「FYRE」だったのだろう。日本で近々行われるオリンピックがこの二の舞にならないことが気がかりだ。
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