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イン・ザ・ハイツのdecapのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
3.4
NYの一角「ワシントンハイツ」に暮らすラティーノの、ラティーノによる、ラティーノのためのミュージカル映画。原作のミュージカルは2005年初演。
会話と歌、ラップが自然と織り交ぜられるながらキャラクターの立ち位置や心情が語られる冒頭から掴まれる。2000年代初頭の非英語圏のヒップホップが台頭してきた頃も想起するような非常に密度の高い音楽も好き。
各キャラクターの生い立ちや現在に至るまでの迫害や差別の歴史を丁寧に追い、地価高騰や人の変化による切ない現実や、夢という呪いからも目を背けず、暗くて辛い問題も芯の強い音楽に乗せて語られる。
特にアブエラの歌う“Paciencia Y Fe”が沁みるのなんの。
自身のルーツや向かうべきものに戸惑い、苦悩する姿自体は全くファンタジーではない誠実なもの。だけども画面は明るく前向きに生きることを提示し続けるのでひたすらに楽しい。
さまざまなミュージカル映画の引用はもちろん、『ドゥ・ザ・ライト・シング』も思い出す映画愛にもあふれる。今まで日の当たることの少なかったラテン系役者で占められた素晴らしい役者陣はもちろん、一流のダンサーやミュージシャンのパフォーマンスが観られるだけで最高なのです。
やけに存在感の強いピラグア売りは原作者のリン=マニュエル・ミランダ。監督は『クレイジー・リッチ!』のジョン・M・チュウ
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