けんたろう

メトロポリスのけんたろうのネタバレレビュー・内容・結末

メトロポリス(1927年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ユートピアの下にディストピア。
誰かの不幸の上に成り立つ幸せに気がついてしまった青年のお話。


ドイツ表現主義の代表作にして、ある意味でのSF映画の原点!!(らしい)
シネマヴェーラ、今回の企画で一番に観たかった作品!!


調べてみたところ、メトロポリスには様々なバージョンがあるらしい。
1929年版(つまり日本でのバージョン)(104分)、1984年版(82分)、2002年版(123分)、2008年版(150分)といった具合で、フィルムが見つかり、復元する度に新しくなるのだとか。
(wikiさんありがとう)

でもシネマヴェーラのページには148分と書かれている。
実際に映画の冒頭では2008年版であることが語られていたため、ヴェーラかWikiのどちらかの表記は必ず誤りということになるわけだ。
こんなことを書いたのは他でもない、今回僕が観た映画はメトロポリス(148分or150分)なのである。
すなわちFilmarksに登録されているバージョン(104分)ではない。

だから追加リクエストが承認されたら、そちらに改めて貼り直そうかと思う。


ではそろそろ映画の感想を。

さっきも書いたが、今年のいつかに観た『カリガリ博士』で、すっかりドイツ表現主義とやらに惹かれてしまい、興味のあった今作。
案の定、セットが面白い。
だがこの映画はSF映画でもあり、その組み合わせが素晴らしく、登場人物のバックはまさに魅力的だった。

また、字幕の降下には驚いた。
読ませることを意識しすぎた現代には到底できない描写である。この、サイレント映画の多様な進化はとても衝撃的だった。

天使と悪魔を演じ分けるマリアもまた素晴らしい。可憐なマリアと、嫌悪感を抱いてしまうマリアは、同じ外見とは思えないほどだ。



おそらく名台詞だろう、「心が〜」の文句には感動した。
心や情が、支配者と労働者の間に挟まる大壁をぶち壊す。発見や開発はたしかに世界の利益に与してきたが、やはり世界そのものを救うのは人間の根幹にあるものなのだろう。


まだまだ格差社会の現代。世界中の人間全員がこうして手を取り合えたら、(たとえそれが幻想だったにせよ、)それ以上のことはあるまい。