このレビューはネタバレを含みます
新撰組にさほどの思い入れが無いので新撰組なのか新選組なのかもよく分かってないからこそ逆に興味が湧いた。
土方が好きな人はより魅力的に丁寧に、土方が好きではない人はものすごく雑に描かれているのが面白い。
近藤と沖田、山南と芹沢あたりは置いておくにしても、藤堂、斉藤、中島、原田あたりはどんな人だっけ?ってなったので、何か他の新撰組を見直すか勉強せねば。と思わされた。
原田監督の最近の男の映画はいつもどこからこんなに人を集めてくるのかと不思議に思う。
クライマーズ・ハイも日本のいちばん長い日も関ヶ原も一歩間違えたらおじさんだらけでこの人誰だっけ?ってなりがちなのに、
ひとりひとりのおじさんが生き生きしているから誰もただのおじさんに見えないし、
どんなに画面が暗くても似たような衣装や髪型の集団でも台詞の有無に関わらず確実に見分けられるようになってるのがすごい。
クライマーズ・ハイは社会人だったから、とはいえ役職で見分けてたのかも。
日本のいちばん長い日は岡本喜八版も見てたしわりと近現代史の方が得意。
関ヶ原と本作は歴史が不得意だったし成績も悪かったから本当に自信がなかった。
でも全然問題なかったからやっぱり監督の演出手腕によるものなんだろうな。
そしてなにより本当にみんなが生き生きしているのが大きい。
今回は柴咲コウも可愛かったんだけどそれは私が有村架純の方がどちらかと言うと好きだからかもしれない。
写真を撮る時ずっと一緒だった3人が覗き込んでてそれに笑っちゃうの可愛かったし、もうあの写真のあの顔はそういうバカバカー!せっかく写真撮ってんのに笑わせんなよ!な顔にしか見えなくなった。
すごく駆け足でさほど深く彼らの絆が描かれていた訳ではないのにあのシーンにひとつの説得力があって面白かった。
そうして思い返せば駆け足の中にもその人となりが分かるシーンもたくさんあって、
源さんが法被でテンション上がって、え?みんな見てよ。かっこよない?ってなってるところや、
慶喜がやたら襖を開け閉めするところや糸里がちゃんも総司の草履を脱がせて大八車に乗せてあげるのとか、
短い駆け足のシーンにも案外込められたものが多かったように思う。
私はやっぱりいつまでも昔のチャンバラ映画のファーストインパクトが抜けてなくて、
結局十三人の刺客でも松方さんと役所さんだけ別格だったのが忘れられない昭和の女なのだけど、
岡田くんの殺陣はとても泥臭くて現代的でかっこよくて、岡田くんはどこに行き着くのか私も長生きせねばと思う。
岡田くんが十三人の刺客の松方さんぐらいになった時、どんな時代劇をやってるのか楽しみ。
土方の最初の方の歩き方喋り方、死んだおじいちゃんにそっくりだった。
おじいちゃん、ギリギリ大正生まれだったと思うけどそんなところからも地続き感を感じてすごく良かった。