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ビル・エヴァンス タイム・リメンバードのTakaCineのレビュー・感想・評価

3.8
【壮絶から編み出す音楽】
ジャズはピアノ曲よりサックス曲の方が好きで、特にズート・シムズやスタン・ゲッツを好んで聴いていた時期があります。

ビル・エヴァンスはあまり聴いたことがなくて、聴いたアルバムと言えば、以下の3つだけです💿🎶

「Waltz for Debby」
「Undercurrent」
「You Must Believe in Spring」

どれも究極の美を感じさせる美しい曲ばかりで確かに大好きです。

彼とは誕生日も同じなので、もっと興味を持ちたかったのですが、「Portrait in Jazz」のジャケットに使われた、教授然とした生真面目な外見がどうも苦手だったのです😥(イメージだけかい!?)

それもあって、殆ど知らなかったビル・エヴァンス。だから、今回のドキュメンタリー映画を楽しみにしていたのです(前説、長っ😅)。

〈薬漬けの天才〉
ジャズメンで必ず取り沙汰される麻薬問題。前に観た『ブルーに生まれついて』のチェット・ベイカー然り、チャーリー・パーカー、アート・ペッパー、マイルス・デイヴィス、ビリー・ホリデー…超有名ジャズミュージシャンが、この問題で苦しんでいます(重軽症問わず)😰

エヴァンスも麻薬に溺れた天才。
一生、麻薬に苦しめられた人生。

いつも真面目な顔で写っていた理由が、麻薬中毒で歯がボロボロになっている無残な姿を見せないためとは😰💦

イメージ、壊れました😫⤵️

と言いながら、昔のジャズメンって…酒、タバコ、麻薬、男女の愛憎が付き物の気がしています。

そして破滅型人生を歩んでいる方が多いのに驚きます。

"ジャズ・ピアノの詩人"と称されたエヴァンスも、破滅型人生を歩んだ1人。

ですが、そのピアノの演奏はリリシズムに溢れ、極上なまでに美しく、耳に心地よく響いて、滑らかで繊細で、様々な音色が絡み合って…今、Spotifyで本作のサントラを聴いているのですが、思わず聴き惚れてしまう魔術的な演奏なのです。

ふと聴こえてきた「My Foolish Heart」の美しさに涙が出てしまいます。

どんなに荒れた生活をしていても、音からは微塵も感じさせないストイックさ。

鍵盤に覆い被さるような独特の演奏スタイルも好きですね♪

本作のトニー・ベネットのコメント。

「ビル・エヴァンス以上に情感を表現できる者はいない。この映画を見ると、彼の音楽における誠実さがひしひしと伝わってくる」

マイルス・デイヴィスに認められ、多くのジャズメンから尊敬された男。グラミー賞5回受賞。

〈時間をかけた自殺〉
華やかな活躍と共に、本作を観て驚いたのが、一時期から盟友や恋人、兄との死別が続いたことです。

スコット・ラファロ(自動車事故)
エレイン(投身自殺)
ハリー(拳銃自殺)

死別の内容に愕然とします😰💦

前述したトニー・ベネットが、電話でエヴァンスと最後に話した言葉は、

「美と真実だけを追求し、他は忘れろ」

エヴァンスは、長年の麻薬常習などによる肝臓疾患を持っていたけど、晩年の数年は適切な治療を拒ち続けて、その結果、死を早めたと言われています。

真偽は分かりませんが、ジャズに人生の全てを捧げ、更に麻薬に頼らざるを得ない壮絶な人生が見えてきます。

ジャズや麻薬の世界にどっぷり浸かっている時だけ、辛いことを忘れられるような…

その静謐な調べを弾きながら、貴方は何を思っていたんですか?

貴方は幸せだったんですか?

至高の芸術を生み出すには、そんな壮絶な人生を歩まないといけないのですか?

鑑賞後、そんなことを考えていたら、胸が張り裂けそうな気持ちになりました😢

エヴァンスは好きなアーティストになりましたが、彼の生き方は大嫌いです😫💦

どうしよう😥
これから彼の曲を聴くのに、幸福な気持ちでは聴けなくなってしまった。。

〈劇場〉
週末に観に行ったら大盛況で、最前列しか席が空いてませんでした。

珍しい親子連れ(母子)も最前列に座っていて、子供はまだ5歳くらい。ジャズ、それもドキュメンタリー映画なので、途中で飽きてぐずるかも?と心配していたら…最後まで比較的大人しかった。この子えらい‼️(演奏聴いてたし)

でも、ちょっと早くない!?
この種の映画に連れて行くのは…
ずっとソワソワしてましたよ😰

あと、この劇場には何回か行ってますけど、毎回男子トイレを(壁の色で)間違えます😅💦
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