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DUNE/デューン 砂の惑星のkoyaのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.5
私がこの映画の原作『デューン/砂の惑星』を知ったのは中学生の時でその時でもうすでにSF小説の古典でした。

この映画は娯楽大作というより、『ロード・オブ・ザ・リング』の世界に近いものだと思います。

もう155分という長さ、何も知らずに行ってパート1で、つづく、になってしまうという超大作というより大河映画。

原作が大河小説なんだから映画もそうなるわけですが、主人公のポール(ティモシー・シャラメ)はずっと憂い顔。映画の色合いもあえて「砂色」ベースにしていて、派手ではありません。

ドゥ二・ヴィルヌーブ監督の『メッセージ』『ブレードランナー2049』の独特な映像美は相変わらずですが、今回はSFXがさらにパワーアップ。

アメリカのSF小説らしい壮大な宇宙ドラマで、人物相関図も複雑。
私はもう記憶力が衰えているので一回観ただけでは、名前など覚えきれません。

主人公のポールは未来が見えるという予知能力があるのですが、それも『スターウォーズ』のフォースのようなものではなく、あえて漠然としていて懇切丁寧な説明などありません。

セリフで説明するより、映像で見せる!その心意気やよし。

娯楽映画というより映像美映画であり、観ていて眠くなるようなテンポと色合い、ずずずぅ~んという地響きのような音響の良さ、ハンス・ジマーによる憂鬱な音楽がずっと流れ続けて、ますます眠気を誘います。

しかし、観終わってみると時間は全く気にならなかったのです。
そして観た直後より、あとになってからの方がじわじわと良さが染み出てきます。

これって、ハヤカワSF小説で、グレッグ・ギアの作品などとてつもなく長いSF小説を読み終わった後の気分によく似ています。
まさにこの映画の原作は「ハヤカワSF文庫」ものであり、大河小説なのです。

下手に色合いをつけて娯楽映画にしなかった勇気と自信、素晴らしい。
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