モクゾー

DUNE/デューン 砂の惑星のモクゾーのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
3.2
●壮大ととるか、緩慢ととるか…

大好きな監督、ヴィルヌーヴの作品!
この映像美は劇場で見てこそ…である。

聞くところによると、可能な限りCGは抑えて、本当の砂漠ロケーションで撮影を多くしているのだという。
その苦労も報われる、生きた砂漠が画面いっぱいに広がっていた。

さて、デューンといえば、デヴィッドリンチの旧作イメージであるが、あの時ほどのおどろおどろしさは薄まり、演者を含めた叙景詩的な美しさになっていた。リンチが闇を描くとすれば、ヴィルヌーヴは光を捉えようとしているとでもいう感じか。
光と影と砂の"粒子"達は、映画ととても相性がよい。

そして、演者を調べずに行ったのだが、此処まで豪華なキャストだとは…
その中でもティモシーキャラメは、どれだけアップにしても耐えうる、王子様感を存分に出していた。ちょっとトムヒドルストン的な顔立ちで、今後もセクシーな俳優になってほしい。
オスカーアイザック、レベッカファーガソンは高貴な感じがよかったし、ジェイソンモモア、ハビエルバルデム、デイブバウティスタ、ジョシュブローリンなんかは、汚せば汚すほど男らしくてカッコいい…ヴィルヌーヴ作品はいつも役者がすばらしい。 


…と、どうも上面以外を褒めにくい映画なのである。。笑
ストーリーはスターウォーズと並ぶSFの大名作が原作なので、そこをああだこうだ言っても詮ないことだが、凄まじい映像にて描かれるのは、二つの勢力の争いと、裏で手を引く帝国…
うーん、やっぱりなんか古いよな。。

正直誰かを応援したい!と言う気持ちも湧かないし、物語の展開にワクワクできない。リンチ版の時にはそれを吹っ飛ばすほどの妙で独特な気持ち悪さがあったのだが、今回のように王道に映画として描かれると…
ちょっとダルく感じてしまった。

世界観を作り込むのは細かなガジェットと勘弁してくれと思うほどの専門用語たち。
ちゃんと見てないと、その言葉って人の名前だっけ?なんだっけ?みたいなことがよく起きるので要注意である。


ヴィルヌーヴは大好きなので、なんともコメントしにくいが、彼はもう少し人の心理にフォーカスするような映画の方がハマるのではないかと思う。
もっとプリズナーズ、灼熱の魂で見せたような、人の心理の奥深く、ヒリヒリするような人間関係を描く作品が見たいなぁ。

見るならば絶対に映画館で。
リメイク版のブレードランナーなんかが楽しめる人には合いそう。
世界観にさえハマれば、とても楽しめると思うが、SFエンタメ超大作を期待する人は、少し身構えた方がよいかとおもわれる。