モクゾー

シン・ウルトラマンのモクゾーのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
2.0
●シン・ゴジラの志とは似ても似つかぬ…

ずいぶん久しぶりの投稿。
シン・ゴジラを期待して鑑賞したが、結果、がっかりさせられてしまった。
これまたちゃんと見てない人が、シンゴジラのウルトラマン版だ、とかいうんだろうな…


まず、何よりも苛立ったのは撮影の稚拙さ。
奇を衒った学生がやるような、変なヘンテコなアングルとカット。バカみたいなドアップと、時折混ざるピントも合っていない質の低い映像。
理由もなく、効果もない。ただただ見にくく、不愉快であった。
映画ってスマホ画面じゃなくてスクリーンで見るものなんですよと、監督に教えてあげたい。

この映画が大ヒットしたとしても、撮影班は絶対に評価されてはいけない。もしそんなことがあったら、何も期待していない日本映画会にもっと失望します。
(※特撮撮影ではなく、ドラマ班のことです)

役者の方も、概ね下手くそであった。
好意的に捉えればこちらを笑わせようとしているのかとも思うが、だとすればそんなに面白くもない。日曜日の午前中特撮演技クオリティである。


…と、ウワベの質でがっかりand辟易なのだが、ストーリーは別になんてことはない。
ウルトラマンをリアルにやったらどんな話かな…というようなオタクの会話を脚本に落としたものだ。
難解なストーリーみたいなコメントもあるが、観づらくて理解しにくいだけではないか?


さて…
現実にゴジラが出現したら人間はどう対応するか…
戦後すぐ、理不尽な破壊を伴う災害に対し人間が立ち向かうことをテーマに作られた『ゴジラ』。その思想を、先の大震災後の現代に作り直し、そして訳の分からない政治的慣習などを、シュールでテンポ良く処理することで笑えてよかったのが『シン・ゴジラ』であった。
元の作品が持つ"志し"が、きちんと踏襲されていることが大切だと思う。それがあれば、ゴジラのデザインが奇抜であったり、最終的な解決策に疑問符が残ったとしても、作品の価値を感じられる。

しっかし、このシンウルさんについては、これ、初代ウルトラマンが、大好きな人は許せるんでしょうか?
設定だけ上澄みをつかって、それっぽくしているだけで、全く好きになれない。

例えば、科特隊を禍特対としているこの感じ。
いや、ダジャレやるのは勝手なのですが、原作で言えば、結局ウルトラマンに頼らなくてはならないながらも、科学の力でなんとか対処しようと頑張る、カッコいい人間側のチームが科特隊じゃないですか。

しかし禍特対の連中といえば、追い出し部屋みたいな設備の部屋で、5人くらいの人間が机並べて、レッツノートひろげて…
 ・なんもないチープな部屋で
  パソコンカタカタやったり    
  YouTubeとかみている
 ・無策で現場の近くまで行って、
  根拠のない解説をする。
という活動。

…いや、こいつら、いらなくね!?


たぶん…たぶん!この残念な連中をコメディモチーフにしたかったんでしょう。だとしら、演技できる人集めなきゃ…西島さんは顔がいいだけなんだから、話させちゃだめなんだって。

こんな、なんの技能があるのかも分からない、妙に若い数人のサークルに、日本は国を任せたくありません。
(あと、早見ちゃんはあの変なアップ厳しいんじゃないかな…見ていてかわいそうでした)


どうせなら人間パートはギャグと割り切るくらい飛ばしてくれたらよかったのに…
他にもたくさんあるけれど、どうでもいいことばかりなので割愛。
(あ、ひとつだけ!メフィラス星人さん、人間に擬態するなら歯並びも綺麗にしたらいいんじゃない?人間離れした高位な感じがなくなっちゃうよ)



2.0の評価にしたのは、まじめに作ろうとしてはいる(はず)だから。

子供にはわかりにくく、大人には稚拙なこの映画、配信時にスマホで見るのがいいんじゃなかろうか。