●シンプルで面白い、芸人気概を魅せた良作
正直軽く観ていたが、劇団ひとり侮れなし…
普通に面白い作品だった。
言わずもがな、ビートたけしが浅草から成り上がる自叙伝「浅草キッド」。これを、劇団ひとりが監督したのだが、まだ現役でトップを走るコメディアンの映画を、芸人監督が作る…というのはすごいプレッシャーなのではないかと思うが、きちんと期待に応えた作品になっていた。
芸とは何か、芸人とは何か、を荒々しくも逞しい昭和の浅草で生き生きと描いている。
タップダンスやストリップ劇場の演出などはとても映画的で観ていて心地よいし、細かい小道具などまで当時の息遣いを感じされてくれる。
なによりもこれは誰の目にも明らかだと思うが、柳楽優弥の好演…これはすごいと思った。
顔が似てるとか、そういうことではなく、演技としてビートたけしを演じ切る…このキャスティングひとつで勝ったようなものだ。
一点、特殊メイクで今のたけしを出しているのだが、ふとした瞬間の画としては良いものの、アップででてしまうと少し…
劇団ひとりがテレビでやる芸のように見えてしまう。。
現役のタレントなのでここはもっと控えめでも良かったのでは…と思いつつも、そのトライも心意気や良しと受け取れるだろう。
たけし本人ではなく、それを取り巻く周りの人達…ある種たけしの才能においていかれた人達に対して、たけしからの畏敬の念を込めた視線を向けているという作りも嫌味がなく心地よい。
小気味の良い作品なので、一見の価値あり。