噛む力がまるでない

フリーソロの噛む力がまるでないのネタバレレビュー・内容・結末

フリーソロ(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリーとしてなかなかすごい領域に行っている。
失敗(死)のスリルも一級で興奮した。

しかしながら、この映画の大きな魅力は、対象とそれを撮影するカメラのあり方にも視点を作って相対化している点。
見られちゃできないクライマーと、これまで帯同してきた映像作家たちの苦悩と痛み。「カメラを回すって何なのさ」という自己批評にもどこか繋がっているようで、とても見応えがあった。
「二度とやらない」と地上で見守るカメラマンと、複雑極まる心境の恋人が本当にいじらしい。

すべての視点が合流するラスト。ドキュメンタリーの殻を破る人間賛歌に胸震えた。

しかし、そのあとの「まだまだやるよ」とケロッと言ってのけるアレックスと、「ダメだこりゃ」の彼女の(無に近い)呆れ顔を捉えたやや意地悪な終わり方もなかなか悪くない。
バカは死ななきゃ、というやつ。でも生きて。お願いだから。