去年公開時からジリジリと一部で話題になってはいたが、ずっと見逃していたコチラ。
メル・ギブソンとヴィンス・ヴォーンが燻銀バディの刑事モノ、というそれだけで激シブなクライムスリラー。
メルギブのバディムービーと言えど派手なドンパチとは一切無縁の、描かれるのは淡々と続くリアルな渇いた日常。
それは市井の人達だけでなく善悪問わず各々の日常で(だがそれはお互いの非日常でもある)、その土台から圧倒的暴力のどん底へと叩き落とされる瞬間は恐ろしい程に刹那的だ。
ロングショットを用いてのクライマックスのネゴシエーションは屈指の緊張感で、何より間の使い方が絶品。
そんな近年稀に見る尖りきったハードボイルドさに惚れ惚れするが、BGMすら一切使わない凪加減に好みは別れるはず。
全編に渡る実は小気味のよく効いた台詞達にも感心させられ、ザラー監督の次回作が待ちきれない。